青井ノボルです。
インデックス投資と言っても、資産配分(アセットアロケーション)は人それぞれ。
株式だけの人、債券を含める人、REITも含める人、色んなパターンが存在します。
また、株式クラスをメインに据える人が多いものの、その中身は十人十色です。
ちなみにワタシは、現時点で、全世界株式にまるっと投資したいと考えています。
今回は、全世界株式の配分比率に的を絞って、GDP比率と時価総額比率のどちらが良いか考えます。
指数はイロイロ
配分比率を考える前に、まずはインデックスファンドの種類について。
インデックス型の投資信託やETFは、株式クラスに限定しても様々な種類があります。
よく見かけるモノだけでも、下記の種類があります。カッコ内はベンチマークとしている代表的な指数です。
- 日本国内株式(TOPIX、日経225など)
- 先進国株式(MSCIワールド、コクサイなど)
- 新興国株式(MSCIエマージングなど)
- 全米株式(S&P500、NYダウなど)
- 全世界株式(MSCIオールカントリーなど)
このうち、各株式クラスのなかでも指数によって対象国が違う場合があります。
例えば、MSCIワールドは日本を含んでいて、MSCIコクサイは日本を除いています。
また対象国が同じでも、指数の対象銘柄数や組入比率の計算方法が違うこともあります。
例えば、国内株式クラスのTOPIXと日経225を比べてみましょう。
TOPIXは東証一部上場の全銘柄を対象としているのに対して、日経225は日本経済新聞社が選んだ225銘柄が対象となっています。
TOPIX対象の東証一部上場銘柄数は2018/2/28時点で2,000社を超え、日経225の約9倍となる銘柄数です。
また、TOPIXが浮動株調整時価総額、つまり上場株式数×浮動比率×株価の加重平均で指数を計算するのに対して、日経225はおおよそ個々の株価を単純平均して指数を計算します。
ちなみに、浮動株とは市場に流通する可能性の高い株式のことを指す言葉です。
一方で、創業者一族などが保有している株式は市場に出回りにくく、固定株と呼ばれます。
身近な例でいえば、三木谷社長が保有している楽天の株式は固定株ですよね。
銘柄数や計算方法など、指数にもそれぞれ違いがある点は注意したいところです。
MSCIグローバル指数
代表的な世界の株式指数として、MSCIグローバル指数と呼ばれるモノがあります。
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出している株価指数です。
ちなみに、指数浮動株調整後時価総額によって算出されています。
例えば、MSCIワールド指数であれば、日本を含む先進国23ヵ国に上場する大・中型株を対象にしたインデックスで、各国市場の約85%をカバーしています。
市場の約85%をカバーしていれば、ざっくり市場全体をカバーしていると考えてよいでしょう。
もちろん、小型株を含めたほうが「市場全体」としての正確性は増すワケですが、銘柄数が一気に増加してしまいます。
小型株まで含めた指数をベンチマークとした場合には、再現性およびコストが実際の運用時に課題となりやすいでしょう。
MSCIグローバル指数が広く採用されている背景には、程よいバランスだよねというコンセンサスがあるのかもしれません。
時価総額比率を考える
ここで、今回の本題である全世界株式の配分比率を考えていきます。
その方法は主に二つあるようで、ひとつは時価総額比率で配分するという方法です。
MSCIグローバル指数であれば、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)が代表的です。
MSCI ACWIは、MSCIワールド・インデックス(先進国23ヵ国)とMSCIエマージング・マーケット・インデックス(新興国24ヵ国)を1つにまとめた指数です。
日本国内の投資信託では、MSCIコクサイ指数(ワールドから日本を除いたもの)をベンチマークに採用するケースが多いので、MSCIワールド指数を目にすることはあまり無いですね。
国内のファンドで全世界株式のインデックス投資を実践するなら、TOPIX(国内株式)とMSCIコクサイ指数(先進国株式)とMSCIエマージング・マーケット指数(新興国株式)について、MSCI ACWIの国別構成比率に応じて配分する、という選択が現実的であると思います。
MSCI ACWIの国別構成比率は、全世界株式インデックス・ファンド(運用会社:ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ)の月報を見るのが、一番簡便な方法でしょう。
2018年1月の月報によると、日本国内株式:先進国株式:新興国株式は7.8:80.0:12.1です。
おおよその比率としては、日本:先進国:新興国が10:80:10と考えてよいと思います。
どこまで厳密に考えるかは好みの問題かなと。
もっとも、MSCIグローバル指数そのものが市場全体の85%しかカバーしていないので、厳密に考えたい場合は別の指数を用いた方が良いでしょう。
GDP比率はどうか
ふたつめの方法は、GDP(国内総生産)の比率による配分です。
全世界のGDP比率ですが、世界経済インデックスファンド(運用会社:三井住友トラスト・アセットマネジメント)の交付目論見書に記載されているデータによると、ざっくり日本:先進国:新興国が10:60:30のようです。
時価総額比率に比べて、新興国の割合が高いことが分かると思います。
GDP比率において新興国の割合が高まる背景には、新興国の株式市場では外国投資家に対して制限を掛けていたり、大企業に国営企業や非上場企業が多かったり、といった理由があるようです。
GDPは経済規模を図るモノサシとも言われますが、全世界経済に占める新興国経済(≒GDP)の割合は、時価総額比率で見たときよりも大きい、というのは先ほどの通り。
新興国市場(≒時価総額)は新興国経済のごく一部でしかないため、新興国経済にまるっと投資するのは再現性の観点から難しいと言えるでしょう。
さきほどの世界経済インデックスファンドも、国内:先進国:新興国の地域別割合はGDP比率ですが、各資産クラスのマザーファンドは時価総額比率で算出される指数をベンチマークとなっています。
新興国経済に投資したくても、実際にはその一部である新興国市場にしか投資できないというジレンマがあるのです。
当然、その程度は違うものの、日本国内や先進国でも同じことが言えます。
日本で考えても、全事業所のうち99.7%は中小企業(個人事業主含む)。
経済規模と市場規模には乖離がある、これは避けることのできない事実です。
(2018/6/7追記)
全世界株式にGDP比率で投資する際の注意点や、国別GDP比率の調べ方、過去の推移について記事にしました。
この記事と結論は変わりませんが、GDP比率について深掘りしています。あわせて読んでみてください。
ワタシは時価総額比率にします
GDP比率と時価総額比率について考えてきましたが、どちらが良いのでしょうか。
どちらにもメリットデメリットがあるので、考え方や好みの問題というのが結論です。
株式クラスに長期投資する前提として、資本主義のもと経済成長が続くハズという考え方があります。
この前提のもと、全世界における経済成長の恩恵をまるっと受けることを重視するのであれば、GDP比率がしっくりくるでしょう。
その場合は先進国・新興国に限らず、フロンティア諸国(発展途上国)にも目を向けるのが自然なのではという気もします。
経済成長という観点でいえば、フロンティア諸国こそ成長が著しくて有望な国々でしょう。
経済規模と投資対象である市場規模の乖離をどこまで許容するかという課題はありますが。
フロンティア市場は、市場規模が小さくて流動性が低く、実体経済との乖離幅は新興国よりも更に大きいようです。
経済成長の恩恵をまるっと受けたいけど、現実的に投資できる範囲で妥協するのであれば、時価総額比率がしっくりきます。
市場が未熟なフロンティア市場を無視するのも自然ですし、新興国も市場の範囲内での成長に投資するだけです。
ある意味大雑把な考え方ではありますが、無理なく投資ができる範囲で留めるという潔さがあります。
乱暴な言い方をすれば、GDP比率は理想を追い求めるスタイル、時価総額比率は現実的なラインで妥協するスタイル、といったところ。
ワタシは30代の普通のサラリーマン、投資は人生のオマケ的な位置付けです。
無理に理想を追い求めることなく、現実的な考え方で落ち着ければいいかなと。
そんなワケで、ワタシは時価総額比率で全世界株式に投資していきたいと考えます。
(2018/4/3追記)
この記事で書いている通り、自分なりに拘りをもって時価総額比率を選択しました。
ところが、全世界株式(国内・先進国・新興国)に分散さえすれば、割合を問わず、同程度のリスク低減効果が期待できるようです。
それでもワタシは「全世界株式の配分比率に拘りをもって投資したい」と、改めて決意した記事です。
■参考記事紹介■
eMAXIS Slimシリーズの全世界株式(除く日本)への投資を検討しました。
<参考記事:eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)に投資すべきか考える>
時価総額比で全世界株式へ投資するときのポートフォリオを考えました。
<参考記事:全世界株式に投資するポートフォリオを考える>
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