青井ノボルです。
楽天・全米インデックス・ファンド、通称・楽天VTI。
米国株式に広く投資ができるVTIを買う投資信託です。
VTIは、世界最大級の運用会社であるバンガード社のETF。
超低コストなETFとして有名な存在で、人気があります。
楽天VTIは投資信託として手軽にVTIへ投資できる点が特徴。
2019/7/25付で、遂に純資産総額が500億円を突破しました。
米国株投資が人気を集め、そしてつみたてNISAが徐々に広まる環境下。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とともに、業界を牽引しています。
この記事では、楽天VTIの純資産総額500億円突破と今後について書いていきます。
楽天VTIは低コストが特徴
楽天VTIは、2017/9/29に設定された楽天投信投資顧問のファンド。
米国株式に広く分散投資ができる海外ETFのVTIへ投資をします。
米国株の指数としてはS&P500も有名ですが、VTIは銘柄数が多め。
中小株式まで含んでいる点が、S&P500との相違点となっています。
楽天VTIは、FOY2018でも上位に食い込む人気ファンド。
大きな特徴として、超低コストである点も見逃せません。
信託報酬は年率0.12%(税抜)、VTI経費率は年率0.03%程度。
合算をした実質的な信託報酬は、年率0.1596%程度(税込)。
また、実質コストも相対的に低い水準だと思われます。
現時点で公開されている運用報告書に基づく推察です。
最新情報は、2019年7月決算分の運用報告書の公開待ち。
おそらく驚くような高コストにはなっていないでしょう。
超低コストはバンガードのお陰
バンガードは、インデックスファンドを生んだ世界最大級の米国運用会社。
楽天VTIは、バンガードが手掛けるETF(上場投資信託)のVTIに投資します。
米国バンガードのETFは経費率が桁違いの超低コストとなっています。
さらに規模拡大に応じて経費率をこまめに見直し、引き下げています。
2019年5月にも、VTIをはじめとして経費率の引き下げを断行しました。
詳細は、ラーメンずずず会メンバーなまずんさんのブログをご参照。
バンガードは、ファンドが同社の株主となる特殊な構造となっていて。
ファンドを保有する投資家目線で運用している点が、素晴らしいです。
経費率を継続的に引き下げる姿勢も、流石バンガードだなと感じます。
楽天VTIがつみたてNISA対象となった裏話
2017/9/29に設定された楽天VTIが、大きく躍進した理由のひとつ。
つみたてNISA対象ファンドとなったのは、確実に影響しています。
2018年1月にスタートしたつみたてNISAですが、制限が多いです。
対象となるファンドも限られて、信託報酬などの要件があります。
例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件を満たす必要があります。
- 販売手数料はゼロ(ノーロード)
- 信託報酬は一定水準以下(例:国内株インデックス投信0.5%以下)に限定
- 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
- 信託契約期間が無期限または20年以上であること
- 分配頻度が毎月でないこと
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
(引用元:つみたてNISAの概要|金融庁)
これ以外にも、インデックス投信の場合は指定指数である必要があります。
金融庁が指定したインデックス(指数)への連動商品のみが対象なのです。
つみたてNISAの対象となっている指数は、下記の通りです。
(引用元:つみたてNISAについて|金融庁)
つみたてNISAの対象となる指数が公表されたのは、2017年6月のこと。
楽天VTIの連動指数CRSP U.S. Total Market Indexも含まれています。
2017年9月になってから、楽天VTIの新規設定が発表されています。
つまり、つみたてNISAの対象指数が決まったのは楽天VTIの登場前。
実はここに、裏話ともいえるエピソードがあるのです。
インデクス投資ナイト2019で今井さんが語った話です。
FTSE Global All Capと、CRSP U.S. Total Market。
上記2つ、実は当初の対象指数リストには無かった。つみたてNISAは、もともとボーグルの精神からスタートした制度。
彼が作ったファンドが入らないのはおかしいと、こっそり忍ばせた。直前で上司にバレたが、アメリカで有名な指数だから入れて欲しいと言い押し通した。
結果的に上記2つの指数連動ファンドは、つみたてNISAの代表的存在となっている。
金融庁の今井さんが第1部で語ってくれた、貴重なエピソード。
インデックス投資ナイト2019のレポート記事から抜粋しました。
楽天VTIは様々な偶然が重なって、ここまで辿り着いたのです。
奇跡とも言える軌跡を辿って、今日があるということですね。
楽天VTIの純資産総額推移
さて、純資産総額500億円を達成した楽天VTI。
驚異的な速さで純資産総額を伸ばしてきました。
楽天VTIの純資産総額推移を、時系列で確認してみます。
2017/09/29 新規設定
2018/01/18 純資産総額50億円突破
2018/04/24 純資産総額100億円突破
2018/07/13 純資産総額150億円突破
2018/09/10 純資産総額200億円突破
2018/11/01 純資産総額250億円突破
2019/01/17 純資産総額300億円突破
2019/02/19 純資産総額350億円突破
2019/04/24 純資産総額400億円突破
2019/06/21 純資産総額450億円突破
2019/07/25 純資産総額500億円突破
ここまで、資金流入ペースは着実に加速しています。
相場変動に関わらず、安定した資金流入ペースです。
100億円ごとで区切って、達成までの期間を見てみます。
0→100億円 7ヵ月弱
100→200億円 4ヵ月半
200→300億円 4ヵ月強
300→400億円 3ヵ月強
400→500億円 3ヵ月
こう見ても、流入ペースは確実に加速しています。
インデックスファンドの中ではトップクラスです。
更なるギアチェンジに期待
楽天VTIの快進撃は、どこまで続くのでしょうか。
純資産総額の増加ペースは、異次元とも言えます。
2019年9月に公表されると思われる、最新の運用報告書。
ここで大きな躓きえなければ、恐らく大丈夫でしょうね。
ただひとつ、どうしても残念だと感じる部分があります。
eMAXIS Slimと違い、500億円突破でも信託報酬は据え置き。
実質的な信託報酬が、楽天の努力で下がることはありません。
信託報酬の引き下げがバンガード頼み、これが切ないところ。
eMAXIS Slim 全米株式(S&P500)のほうが、夢があります。
楽天VTIが快進撃を続けるために、この点の工夫が必要でしょう。
楽天投信投資顧問による、コスト引き下げが待ち遠しいですね。
関連記事紹介
ライバルであるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)も非常に好調。
切磋琢磨しながら、米国株投資を盛り上げていくのが良いと思います。

「日本のバンガードを目指す!」と意気込んでいる三菱UFJ国際投信。
楽天投信投資顧問も、現状維持では足元をすくわれるかもしれません。

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