青井ノボルです。
三菱UFJ国際投信の第2回ブロガーミーティングにおける配布資料の一つ。
ノーロードインデックスファンド残高の同社独自集計資料がありました。
同社のeMAXISシリーズをはじめ、ニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズなど。
12社23シリーズのノーロードインデックスファンドを集計対象としているデータです。
資料によると、ノーロードインデックスファンドの残高は、2018年8月末時点で1兆円超。
「兆」は普段は見掛けない単位ですし、大きなインパクトのある数字だと感じます。
この記事では、ノーロードインデックスファンド残高の現状と今後について書いていきます。
ほぼ右肩上がりで推移
1兆円超に辿り着くまでに、どういった軌跡を辿ってきたのでしょうか。
ノーロードインデックスファンドシリーズの残高推移を見てみましょう。
(引用元:第2回ブロガーミーティング資料|三菱UFJ国際投信)
残高が大きく伸びているのは、2014年と2018年の2回だと思います。
2014年は、従来型のNISAがスタートしたのが寄与しています。
相場環境も良好で、投資信託への興味が高まったのでしょう。
2018年は、みなさんご存知の通りつみたてNISAが始まった年。
ノーロードインデックスファンドにとっては、強い追い風です。
つみたてNISA対象は、投資初心者でも安心して投資できるファンドに限定。
所定条件を満たしたノーロードインデックスファンドが多く選ばれました。
そのため、ノーロードインデックスファンドの残高が急増しています。
こうした結果の積み重ねとして、2018年8月に残高1兆円超となったのです。
副次的効果で超低コスト化が進行
ノーロードインデックスファンドの残高が増加すると、規模の経済が働きます。
運用コストの低減が図れるため、ファンドによっては投資家に還元することも。
例えば、ニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズ。
純資産総額が増えたら信託報酬を下げるという姿勢が明確です。
そのほか、超低コストファンドとして有名なeMAXIS Slim シリーズ。
インターネット販売のみに限定したファンドで、コスト競争力があります。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」がコンセプト。
他が信託報酬を引き下げたら、すぐに対抗引き下げを実行する徹底ぶりです。
運用コストの競争原理が働いているのは、業界全体が大きくなったから。
そしてもう一つ、つみたてNISAがスタートしたことも大きな要因です。
つみたてNISAの開始前後、eMAXIS Slim シリーズが信託報酬引き下げを実施。
超低コスト時代に突入し、ニッセイAMも後追いしてきましたという流れです。
国による非課税制度の恩恵を受けながら、良い流れになってきています。
まだ投資信託業界の極一部
ところで、国内投資信託全体の規模はどの程度なのか。
投資信託協会の統計データから確認してみます。
2018年8月末時点のデータで、公募投信の残高は約122兆円。
ノーロードインデックスファンドの割合は1%未満です。
ちなみに、インデックスファンドの残高は約44兆円となっています。
日銀が国内株式指数連動のETFを大量保有している影響でしょう。
機関投資家が大多数であり、個人投資家の寄与分は少なそうです。
ノーロードインデックスファンドの残高1兆円は、素晴らしいこと。
それでも投資信託全体からすると、まだまだ小さな存在なのです。
歴史の積み重ねで今がある
日本国内におけるインデックス投資の歴史は、まだまだ浅いのが現実。
一昔前は信託報酬が高いファンドが多く、早期償還もあったそうです。
投信ブロガーをはじめ、諸先輩方には苦労が多かったのだと思います。
それでもインデックス投資を続け、発信を続けた結果として今がある。
過去の積み重ねで、ノーロードインデックスファンドが1超円規模に。
2018年のいま、つみたてNISAが始まり超低コストファンドが選べる。
小さな積み重ねが実り、恵まれた環境の今があるのだと思います。
つみたてNISAは、約40年にわたり続いていく非課税制度です。
税制要望が通れば、恒久化が実現する可能性も秘めています。
ノーロードインデックスファンドという選択が、更に広がるためには。
この日本にしっかりと根付くかどうかは、これからに懸かっています。
インデックス投資の実践者として、少しでも後押しできたら嬉しいです。
関連記事紹介
ノーロードインデックスファンド業界のトップに立っている三菱UFJ国際投信。
eMAXISシリーズの純資産残高合計が3,000億円を突破、シェア3割くらいです。

金融庁が主催する個人投資家向けの感謝祭的なイベントが、つみフェスです。
充実したプログラムばかりで、とても勉強になる素晴らしいイベントでした。

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コメント
うちの周辺の状況見ても投資はおろかインデックスの普及がまだ道半ばなのは、何となく分かってました。そんでも投信全体で122兆、インデックスで44兆円のボリュームがあるんですね。
まだまだ投資自体が一部の方にしか普及してないので、以前も書きましたが普及が進むような施策を期待します。
コメントありがとうございます。
日銀の約25兆円ETF爆買いなど、機関投資家による資金がメインだと思います。
個人投資家によるインデックスは、まだまだこれから。
民間の力も使いながら、うまく広まって欲しいものです!