つみたてNISAの売れ筋が日経平均から外国株式へ変化してきた

節約・節税

青井ノボルです。

つみたてNISAがスタートしてから、1年が経ちました。
口座数は遂に100万を突破し、徐々に広まっています。

先日、日経電子版のなかで気になる記事がありました。
QUICK資産運用研究所が提供する投信コラム記事です。

つみたてNISA対象ファンドの設定額に関するランキング。
資産クラス別に集計されていて、特徴がよく分かります。

過去には、モーニングスターで類似の記事がありました。

この記事と比較すると、売れ筋が日経平均から外国株式へ徐々にシフト。
少しずつではありますが、確実に変化している数字となっていたのです。

この記事では、つみたてNISAの売れ筋が日経平均から外国株式へ変化してきたことについて書いていきます。

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2018年設定額はひふみプラスが断トツ

まず、日経電子版の記事から中身を確認していきます。

つみたてNISA対象となっているファンドについて。
2018年の設定額を、資産クラス別に順位付けです。

各資産クラスのランキングを確認してみましょう。
金額の単位はすべて億円、端数は切り捨てです。

資産複合ランキング

はじめに、株式・債券など資産複合型のファンドです。

ファンド名 種類 設定額 解約額 純資金流入出額 設定/解約倍率
1 セゾン・バンガード・グローバル・バランス A 294 118 176 2.5
2 世界経済インデックス A 257 175 81 1.5
3 eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) I 163 37 126 4.4
4 のむラップ(積極型) A 91 51 39 1.8
5 eMAXIS バランス(8資産均等型) I 76 42 33 1.8

(引用元:つみたてNISAの投信、設定額(投信ランキング)を基に一部追記)

複合資産型つみたてNISA対象商品の設定額は、アクティブが好調です。

セゾンのSVGBは、低コストファンドの先駆け的存在として有名です。
世界経済インデックスも人気で、設定額ではSVGBに肉薄しています。

ただし純資産流入出額に注目すると、少し景色が変わってきます。
仮に設定額が大きくても、解約額も大きければ意味がありません。

世界経済インデックスとeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)。
純資金流入出額で比較した場合、その順位は逆転してしまいます。

設定/解約倍率を計算してみると、その差はハッキリしています。
解約額が少ないファンド、という視点を持つことも重要ですね。

国内株式ランキング

次に、国内株式型のファンドです。

ファンド名 種類 設定額 解約額 純資金流入出額 設定/解約倍率
1 ひふみプラス A 4,421 2,250 2,171 2.0
2 ニッセイ日経225 I 1,068 805 262 1.3
3 野村日経225 I 813 612 201 1.3
4 eMAXIS 日経225 I 775 594 181 1.3
5 ひふみ投信 A 670 392 278 1.7

(引用元:つみたてNISAの投信、設定額(投信ランキング)を基に一部追記)

第1位のひふみプラスと第5位のひふみ投信は、マザーが一緒。
販路に違いがあるだけで、中身は原則として変わりません。

ひふみの強さが目立ちますが、日経225の人気も目立ちます。
3本ランクインしていて、どれも一昔前の信託報酬水準です。

リアル店舗型の金融機関で主に販売されているファンドです。
ネット系金融機関が扱う超低コストファンドではありません。

全体的に、純資金流入出額や設定/解約倍率の数字が残念です。
それでもひふみは健闘していますが、日経225は解約が多すぎ。

資産形成ではなく、投機的な目的で短期売買されている印象です。
無駄な売買を強いられるファンドは、避けた方が無難でしょう。

マザーファンドが一緒なら、他のベビーファンドにも影響する。
そのように考えるのが自然ですが、実はそうでもないようです。

純資金流入出額は残念な傾向ですが、設定額の大きさは流石。
他の資産クラスと比べると、設定額だけは突出していますね。

特に、ひふみプラスの2018年設定額4,000億円超は凄いです。

外国株式ランキング

最後に、外国株式型のファンドです。

ファンド名 種類 設定額 解約額 純資金流入出額 設定/解約倍率
1 ニッセイ外国株式 I 512 189 323 2.7
2 楽天VTI I 346 78 268 4.4
3 eMAXIS Slim 先進国株式 I 325 59 265 5.5
4 セゾン資産形成の達人 A 210 62 147 3.4
5 楽天VT I 186 34 152 5.5

(引用元:つみたてNISAの投信、設定額(投信ランキング)を基に一部追記)

第1位は、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式でした。
設定額の大きさは、頭一つ抜け出している印象すらあります。

eMAXIS Slim 先進国株式や楽天VTIなど、新ファンドも多め。
つみたてNISA開始により、勢いのあるファンドも目立ちます。

他の資産クラスより、インデックスファンドが多いのも特徴。
更に言えば、解約額が相対的に少ないのも大きな特徴ですね。

eMAXIS Slim 先進国株式と楽天VTは、特に素晴らしいです。
愚直に積立投資を続けている個人投資家が多いという証左。

ファンドを保有する人が、本当の意味で長期投資家か否か。
こうした数字を見ながら判断するのも、一つの方法ですね。

国内株式クラスが年後半に失速

過去にブログ記事でも取り上げた、モーニングスターの記事
2018年1月から3月までの、純資金流入出額が記載されていました。

今回取り上げた日経電子版の投信記事は、2018年1年間の数字です。

この2つの数字を使って比較すると、面白いデータでした。
上から順番に、複合資産型・国内株式型・外国株式型です。

ファンド名 1-12月 1-12月/4 1-3月 比較
セゾン・バンガード・グローバル・バランス 176 44 48 ▲ 8.3
世界経済インデックス 81 20 23 ▲ 13.0
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) 126 31 33 ▲ 6.1
のむラップ(積極型) 39 9 14 ▲ 35.7
eMAXIS バランス(8資産均等型) 33 8 N/A N/A
ファンド名 1-12月 1-12月/4 1-3月 比較
ひふみプラス 2,171 542 1,253 ▲ 56.7
ニッセイ日経225 262 65 142 ▲ 54.2
野村日経225 201 50 143 ▲ 65.0
eMAXIS 日経225 181 45 112 ▲ 59.8
ひふみ投信 278 69 178 ▲ 61.2
ファンド名 1-12月 1-12月/4 1-3月 比較
ニッセイ外国株式 323 80 96 ▲ 16.7
楽天VTI 268 67 52 28.8
eMAXIS Slim 先進国株式 265 66 53 24.5
セゾン資産形成の達人 147 36 38 ▲ 5.3
楽天VT 152 38 41 ▲ 7.3

1-12月というのが、日経電子版に載っていたデータです。
それを単純に3ヵ月分に割り戻したのが、すぐ右の数字。

1-3月というのは、モーニングスター掲載のデータです。

年間データの3ヵ月分と1-3月を比較したのが一番右。
プラスは年後半に加速、マイナスは減速を意味します。

国内株式クラスは前半こそ絶好調でしたが後半に大失速
比較の数字では、いずれも大きなマイナスとなりました。

複合資産クラスも全てマイナスですが、小幅に留まりました。
外国株式クラスもマイナスが目立ちますが、一部ではプラス。

楽天VTIとeMAXIS Slim 先進国株式は大きく飛躍しています。

振り返ってみると、2018年は10月~12月が厳しい相場でした。
その中で、資金流入のペースが加速したファンドは凄いです。

日経平均から外国株式へ人気がシフト

つみたてNISA対象ファンドの中でも、明暗が分かれました。

ファンドにより濃淡はありますが、相対的に国内株式は苦戦。
外国株式の勢いが徐々に増している、とも言えると思います。

日経平均が大人気でしたが、徐々に外国株式へシフト。
つみたてNISA対象の売れ筋に、変化の兆しがあります。

投資は国内株式が基本、指数といえば日経225でした。
外国株式にも目が向くことは、良い変化だと考えます。

世界分散投資がスタンダードになる日が来るのでしょうか。
日本国内における投資の成熟度が高まることを期待します。

 

青井ノボル
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