青井ノボルです。
先日、日経電子版の投信コラムに青井ノボルがまさかの掲載となりました。
投信ブロガーの紹介記事は定期的に掲載されていて、以前から大好きでした。
QUICK資産運用研究所の方が書いていて、読み応えのある良記事ばかりです。
シリーズ記事のなかで、とても印象に残っている言葉があります。
それは、NightWalkerさんの紹介記事に書かれていたこの言葉。
「リターンは『足るを知る』くらいを期待するので十分とするのが、普通のサラリーマンが長期にわたり投資を続けていくためのキモではないかと感じています」
この言葉に出会い、まさにそうだなと感じたことを鮮明に覚えています。
この記事では、投資のリターンは「足るを知る」で十分だと思う理由について書いていきます。
「足るを知る」は老子の言葉
老子の「知足者富」(足るを知る者は富む)という言葉があります。
その意味は、満足することを知る者は心豊かであるということです。
「欲張らずに程々で満足しましょう」という解釈もされるようです。
ちょっと消極的なイメージですが、言いたいことはよく分かります。
おそらく、自分にとっての「足るを知る」が重要なのだと思います。
自分にとって満足できるものは何なのか、自分で認知することです。
外部環境を受け入れながら、自分が満足する水準が腹に落ちていて。
何かと比較することなく、自分軸で判断できることだと考えます。
そんな「足るを知る」が、心豊かな人生を形成するということです。
投資における「足るを知る」
ところで、投資における「足るを知る」とは一体何でしょうか。
これは明確な答えが出しにくく、掴みどころのない世界です。
自分自身を知り、投資について知り、満足できるのはどこなのか。
自分に問いかけ、自分なりの答えを探していく世界となります。
誰かに教わるのではなく、自分なりに考えて腹に落とす。
絶対的な正解が無いからこそ、悩みながら考えるのです。
以下、ワタシなりの考え方を書いていきます。
投資の素人であるという意識
普通のサラリーマンは、日中に仕事をしていることが多いです。
日中に相場をウォッチする時間は無く、投機は難しいでしょう。
時間軸を考えたとき、中長期の投資が無難な選択となります。
投資が趣味や本業であれば別ですが、投資は資産形成ツール。
そう考えるのであれば、投資に割く時間は少ない方が良い。
投資に割く時間を少なくして、人生を楽しむ時間的な余裕を作る。
趣味や家族との時間を大切にする、というのも一つの考え方です。
このように考えると、投資にはさほどエネルギーを割けません。
一方で、投資素人の域を超えないというデメリットもあります。
自分は投資の素人であるという意識は、どこかで持つべきです。
上場企業の株価が長期的に上がる仕組み
投資とは「安く買って高く売る」のが基本だと言われます。
しかしながら、相場変動はなかなか予想通りにいきません。
相場におけるプレイヤーの大半は機関投資家と言われています。
投資のプロたちが、儲けるために凌ぎを削っている厳しい世界。
一方、相場ではプロが売買を繰り返すことで株価が形成されます。
機関投資家の売買結果が株価であり、その集合体が市場平均です。
2000年頃のITバブルなど、市場が価格形成を誤ることもあります。
それでも価格形成は大体合っていて、長期的に見れば均されます。
また、企業は生まれた瞬間から利益創出を宿命づけられます。
何故なら事業継続が前提であり、そのためには利益が不可欠。
上場企業はその傾向が顕著であり、成長し続ける必要があります。
一時的な利益変動はあっても、赤字の垂れ流しは許されません。
市場の価格形成機能が概ね機能するなか、上場企業が利益を上げる。
短期的な誤差はありますが、長期的に見れば株価は上がるはずです。
また、個別株で見ると長期的な業績不振や倒産するリスクもあります。
市場平均で見れば、清濁併せ呑みながらも概ねプラスとなるでしょう。
市場平均への長期投資であれば、恐らく報われる可能性が高いだろう。
どうしても相場変動のリスクは残りますが、理解すれば耐えられる。
概念的な話ですが、このように捉えることもできるのではと考えます。
満足できる水準はどこか
投資判断のセンスが無い投資素人が、投資でリターンを期待する。
大きなリスクは負いたくない中、どこで満足できるのかと考える。
自分自身を知り、投資について知り、満足できるポイントはどこか。
ワタシの場合は、市場平均に委ねるという選択こそが心地良いです。
相場変動のリスクを負いながら、市場平均への長期投資を続ける。
どこの国や地域が伸びるかは分からないから、全世界に投資する。
時価総額比率の全世界株式であれば、期待リターンは5%前後でしょうか。
これも過去データに基づく予測値なので、参考程度の数字ではあります。
「一応年5%くらいだと思うけど、どうなるかは分からない」
「それでもきっと、数十年後にはプラスになっているはず」
期待リターンには過度に期待せず、市場平均を受け入れる覚悟をする。
投資素人であるワタシらしい、十分に満足できる水準だと考えます。
ワタシにとって、投資の「足るを知る」は「市場平均を受け入れる」です。
自分で考えてこそ辿り着く境地
自分自身を見つめ直し、相場変動を理解して、ここだと思える場所を探る。
自分を見つめ直すためには、他人の目線も必要かもしれません。
ただ最後は、自分がどう考えるかという視点が最重要でしょう。
相場変動を理解するのも、教科書的な理解では意味がありません。
自分なりに咀嚼して理解することが、腹に落とすということです。
やはり自分で悩みながらも考え抜き、初めて辿り着ける境地です。
「よく分からないけどこれくらいでいいや」という感覚ではなく。
考えた末に「自分が満足できるのこれだ」と言い切れるイメージ。
投資のリターンは、果てしなく上には上がいる世界だと思います。
またリターンだけでなく、リスクの観点で考えることも重要です。
投資で取れるリスク、投資に費やすべき時間など総合的に考えて。
「これだ!」と思えたのが、バイ&ホールドのインデックス投資。
「足るを知る」と言う言葉は、とても深い意味があると感じます。
心豊かな人生を送れるように、ぜひ皆さんも考えてみてください。
関連記事紹介
NightWalkerさんの著書は、長期投資の金言に溢れる素敵な内容となっています。
本書の中には「期待リターンに期待しない」という言葉もあるので、必見ですよ。

投資に目標額は必要無くて、自然体で資産形成と資産活用をすれば良いのでは。
将来は予測不能なので、その時々で最善策を選び続けるしかないと思います。

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コメント
うちは適度に「忘れなさい」を推奨してます。
投資をしていると株価の動向やポートフォリオ、SNSなど気になって仕事や余暇に影響を
与える事はないでしょうか? うちも始めた頃は会社で株価チェックしたり、帰宅後
NYダウが暴落したりするとオチオチ寝てられない事がありました。
個別銘柄や投資信託を買うことは企業成長に賭けてる事なので長期で見れば上がるハズなので
短期の上げ下げは気にしてもしゃあない事なのに気が付けば、あとは信じて待つしかないと
思います。
うちは適度に「忘れる」事にしています(完全に忘れてるわけではないですが)。
そうする事で仕事、余暇などを満喫することが出来て、人生豊かに出来ると思ってます。
所詮投資は副業じゃ~
因みに明日は福島県三春町にお出掛けと献血してきます(笑
コメントありがとうござます。
株価や基準価額、あるいは評価損益が気になってチェックしてしまう。
ワタシも投資を始めて間もない頃はそうだったように思います。
意図的に忘れるのもアリですし、ワタシはリーマン・ショックで見るのが嫌になりました(笑)
いまでは本当に気にならなくなったというか、他のことが楽しいので確認する暇がありません。
結果的に、人生が豊かになればそれで良いんだと思います。
献血も良いですね。良い週末をお過ごしくださいませ!