青井ノボルです。
米国株投資の勢いは凄まじく、とどまるところを知りません。
インデックス投資でも、米国株式の存在感が増しています。
米国株式市場の特長や成長余力に魅力を感じている人が多い。
GAFAなど成長企業を抱える、世界経済の中心地でもあります。
楽天VTIが純資産総額400億円を突破するなど、人気が高くて。
ライバルのeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)も好調を維持。
S&P500に低コストで投資ができるファンドは、主に2本。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とiFree S&P500です。
両者を比べたとき、トータルコストでどちらが優れているのか。
全てのコストが織り込まれている基準価額で判断がベターです。
この記事では、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とiFree S&P500のコストを比較します。
信託報酬には大きな差
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とiFree S&P500。
ベンチマークとする指数は、両者ともにS&P500です。
ファミリーファンド方式で、現物中心の運用も一緒。
2つのファンドに、構造的な大きな違いはありません。
分かりやすい違いと言えば、ファンドに係るコスト。
信託報酬を比較すると、意外と大きな差があります。
eMAXIS Slim シリーズは、超低コストで有名なファンドシリーズ。
米国株式クラスでも例外なく、信託報酬は最低水準となっています。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託報酬は年率0.16%(税抜)。
楽天VTIを強烈に意識した信託報酬であり、超低コストだと思います。
一方のiFree S&P500も、決して信託報酬が高いワケではありません。
信託報酬は年率0.225%(税抜)となっていて、良心的なレベルです。
それでも、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較すると差がある。
税抜ベースで0.065ポイントの差、超低コスト時代には大差でしょう。
マザーファンドの規模
前述の通り、どちらのファンドもファミリーファンド方式で運用中。
マザーファンドの規模は、運用効率の観点から重要な要素でしょう。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のマザーファンドは当初情報無し。
新規設定のニュースが流れた時点では、マザーの詳細は不明確でした。
ところが先日、請求目論見書が更新されたことで詳細が判明です。
機関投資家向けのファンドもぶら下がっており、規模は大きめに。
(引用元:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)請求目論見書P23|三菱UFJ国際投信)
eMAXIS Slimのマザーファンド規模は、約328億円(2019年1月末時点)です。
iFreeは、マザーファンドにぶら下がっているのがiFree S&P500のみ。
2019年1月末時点で、マザーファンド規模は約62億円と推察されます。
マザーファンドの規模が大きいほど、スケールメリットがあります。
1口あたりのコストは低減される傾向にあり、コスト的に有利です。
参考にしかならない実質コスト
ファンド運用にかかる費用は、信託報酬以外にも存在します。
実際に運用してみないと計算できず、事前には分かりません。
ただし、決算時に「1万口あたりの費用の明細」が公開されます。
これが実質コストで、信託報酬以外も含んだコストとなります。
ところが、実質コストは全てのコストを反映している訳ではなく。
実質コストには含まれない、隠れコストも存在するのが実態です。
実質コストは信託報酬よりも精度が高いものの、参考値に過ぎない。
全てのコストを漏れなく反映しているのは、基準価額だけなのです。
同じベンチマークのファンドを比較する場合、基準価額推移を調べる。
トータルコストで考えるのならば、この方法が最も正解に近そうです。
基準価額推移で比較した結果
S&P500をベンチマークとしている、低コストファンドの代表格。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とiFree S&P500の比較です。
前述の通り、信託報酬ではeMAXIS Slimが一歩リードの状況。
マザーファンドの規模もeMAXIS Slimが優勢となっています。
ただし、トータルコストで考える場合は基準価額推移が重要。
月初(7月のみ7/3)の基準価額を並べると、下図の通りです。
(公開データより筆者が独自作成)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の設定直後は、大きなマイナスに。
ファンド設定直後はどうしてもコスト高になるようで、仕方無いです。
その他の時期は、概ねeMAXIS Slimの方がパフォーマンスが良いです。
7月は異常値として、8/1→4/1の基準価額推移で増減率を比較します。
8月1日 | 4月1日 | 増減率(%) | |
eMAXIS Slim | 10,458 | 10,565 | 1.023 |
iFree | 11,706 | 11,820 | 0.974 |
8ヵ月間の基準価額推移を比較すると、増減率で0.049ポイントの差です。
無理やり1年間に換算するならば、約0.075ポイントの差となるでしょう。
ベンチマークは同じなので、eMAXIS Slimの方がトータルコストは低い。
あくまで推測に過ぎませんが、基準価額推移で比較するとこうなります。
それでも気になるのは実質コスト
今回は、トータルコストの観点から基準価額推移より比較しました。
基準価額は1の位までしか公開されていないため、誤差もあります。
全てのコストを反映しているものではない、という前提はあれど。
決算により判明する実質コストも、コスト比較の参考になります。
ベンチマークが異なるファンドは、実質コストで比べるほかない。
そんな現実も残されているので、実質コストは当然気になります。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の初回決算は、2019/4/25。
実質コストがどの程度の数字に落ち着くのか注目されています。
第1期目の交付運用報告書が公開され次第、記事にする予定です。
個人的にも気になるところなので、密かに楽しみにしています。
関連記事紹介
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、2019年1月に純資産総額100億円を突破。
2019年4月には150億円を突破するなど、人気ファンドへと成長を遂げています。

純資産総額は、後発のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が逆転しています。
この記事を書いたときにも、基準価額推移からコスト差を推測していました。

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