青井ノボルです。
SBIアセットマネジメントが、思い切った信託報酬引き下げを実行。
雪だるま(全世界株式)の信託報酬を引き下げ、話題となりました。
先日はバンガードとの共同ブランドファンドを設定するなど、攻めています。
先進国株式クラスで超低コストへ一気に舵を切った陰の功労者でもあります。
たわらノーロードが攻めた全世界株式、ここでSBIも食い込んできました。
eMAXIS Slimとたわら、さらにはSBIと楽天VTの間で激しい覇権争いです。
信託報酬の超低コスト化は、全世界株式でも年0.1%の攻防という新境地へ。
この記事では、雪だるま(全世界株式)が信託報酬を引き下げて新境地を切り拓いたことについて書いていきます。
動きが激しい全世界株式
全世界株式とは、日本国内・先進国・新興国の株式で構成されるインデックス。
MSCI ACWIやFTSE GACIに連動する投資成果を目指し運用されるファンドです。
時価総額比率の全世界株式に1本のファンドで投資ができる、シンプルさが特徴。
広く分散された投資を志向する人にとっては、この上なく有難いファンドです。
これまで日本では、全世界株式の低コストファンドが存在しませんでした。
正確には低コストファンドはあったものの、超低コストはここ数年のこと。
一番最初に歴史を拓いたのは、他でもない楽天バンガード全世界株式です。
米国籍ETFであるVTを買い続けるというファンドで、人気を集めています。
FOY2017では初登場ながら第1位に輝くなど、全世界株式ファンドの頂点に立ちます。
雪だるま(全世界株式)もありましたが、こちらは人気がなかなか出ませんでした。
その後、2018年10月にeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)設定。
楽天VTを急速に追い上げるも、決定打に欠けてその差はなかなか縮まりません。
こうしたなか先日、たわらノーロードが全世界株式に超低コストで乱入してきて。
対抗して、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)他2本も引き下げへ。
楽天VTがトップを独走していた状況から、各社の激しい動きによって。
大きな山が動きつつある、というのが全世界株式における最新情勢です。
雪だるま(全世界株式)が信託報酬を引き下げ
SBIの雪だるま(全世界株式)は、2019/9/5に信託報酬引き下げを発表。
従来の水準を大きく下回り、年0.1%に迫る超低コストとしてきました。
SBIは先日、バンガードと共同でS&P500の超低コストファンドを設定。
バンガードが楽天だけでなくSBIと組むという事実に、驚かされました。
超低コストを目指す姿勢を鮮明とし、米国株式に新しい風が吹きました。
そして今回、全世界株式でも超低コストで勝負をかけるということです。
信託報酬は年率0.062%(税抜)で、ETFの経費率が年率0.042%程度。
実質的な信託報酬は、年率0.104%程度(税抜)と超低コストです。
米国籍ETFを通じて投資をするため、おおよその数値ではありますが。
信託報酬が年約0.1%まで引き下がる、インパクトが大きい話でしょう。
たわらノーロードが仕掛けた信託報酬が、年率0.12%(税抜)でした。
約0.02ポイントの引き下げが、短期間のうちに行われるとは驚きです。
SBIアセットマネジメントの存在感を示す意味では、成功を収めました。
雪だるま(全世界株式)はクセが強い
超低コスト化により、大きな注目を集めることに成功した雪だるま(全世界株式)。
コストが低いからと安直に飛びつくと、あとで残念な思いをするかもしれません。
というのも、雪だるま(全世界株式)はインデックスファンドの中ではクセが強い。
ベンチマークこそFTSE GACIですが、投資対象ファンドの割合は固定するのが原則。
(引用元:雪だるま(全世界株式)交付目論見書)
投資対象ファンドは米国籍ETFの3銘柄で、合成で全世界株式となります。
米国株式、米国を除く先進国株式、新興国株式の各ETFに投資をします。
(引用元:雪だるま(全世界株式)交付目論見書)
運用報告書を見る限り、実際には時価総額比率に合わせて割合を変更。
FTSE GACIへ連動することを目指しているのですが、結果は今ひとつ。
ベンチマークが同一な楽天VTとともに、2019年7月の月報を確認して。
各ファンドとベンチマークとの騰落率を比較すると、下図の通りです。
(公開データより筆者独自作成)
設定日には2ヵ月ほどの違いがありますが、それでも差が大きいですね。
インデックスとの連動性に疑問符が付く楽天VTよりも、更に酷いです。
ファンド信託報酬+ETF経費率では、雪だるま(全世界株式)のほうが低廉。
それでも残念な結果になるのは、運用方法あるいは構造的な問題でしょうか。
見た目のコストだけではファンドの良し悪しは計れない、その好例ですね。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に期待
楽天VTはコスト的に期待ができず、また雪だるま(全世界株式)もクセが強いファンド。
となると、やはり期待してしまうのがeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)。
ベンチマークがMSCI ACWIですが、時価総額比率の全世界株式に投資できます。
業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける、がコンセプトです。
信託報酬の引き下げなら、eMAXIS Slimがすぐに追随してくれるだろう。
そんな期待が自然と集まり、そしてその期待を裏切らないのが特徴です。
ここまでコンセプトがぶれないと、大きな支持を集めるのは自然なこと。
三菱UFJ国際投信はブロガーミーティングも積極的で、好感が持てます。
FOY2018では、個人投資家にストレスフリーな環境を提供したいという発言も。
全世界株式クラスにおいても、アツい想いを貫き続けて欲しいと思っています。
関連記事紹介
インデックス投資において、運用コストは非常に重要なこと。
コストに敏感になること、個人投資家なら当然だと思います。

超低コストが注目されがちですが、細かい改善もしています。
個人投資家に寄り添う姿勢こそ、共感を呼ぶのだと思います。

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