青井ノボルです。
三菱UFJ国際投信は本日、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を新規設定する旨をリリースしました。
EDINETで公開されている有価証券届出書はコチラです。
三菱UFJ国際投信のプレスリリース資料はコチラです。
公開資料によると、2018/7/3に新規設定されるようです。
米国株投資が盛り上がりを見せているいま、時流に乗った新規設定ですね。
この記事では、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)について、ワタシなりに調べた結果をできるだけ詳しくお伝えします。
本日朝に発表された新規設定のニュース
eMAXIS Slim シリーズのファンド新規設定のニュースは、2018/3/16の全世界株式(3地域均等型)以来。
つみってNISA開始から月日が流れ、ファンドの新規設定はひと段落したものと思ってました。
それがまさか、emAXIS Slim シリーズが全米株式クラスに殴り込みを掛けるとは!
ワタシがこれに気付いたのは、相互リンク先でもあるアウターガイさんのブログ記事です。

迅速な情報提供、いつもありがとうございます!
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の概要
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の基本情報を整理してみます。
当ファンドの概要は、三菱UFJ国際投信のプレスリリース資料を見れば、一通り分かります。
ベンチマーク
S&P500指数(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとして、値動きに連動した投資成果を目指します。
S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数です。
米国株式市場に上場している代表的な500銘柄で構成され、時価総額加重平均で算出されています。
算出方法が異なるダウ工業株30種平均株価(NYダウ)よりも幅広い銘柄で構成され、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。
全米株式と呼ぶに相応しいインデックスのひとつと言えるでしょう。
為替ヘッジ
原則として為替ヘッジは行いません。為替相場変動の影響を受けます。
ファンドの仕組み
ファミリーファンド方式となっています。
具体的には、下図の通りです。
(引用元:三菱UFJ国際投信のプレスリリース資料より一部抜粋)
S&P500インデックスマザーファンドを通じて、主にS&P500に採用されている米国株式に投資します。
S&P500との連動を維持するため、先物取引等を利用する場合もあります。
ファンドの費用(コスト)
気になるコストですが、eMAXIS Slim シリーズらしく低水準に抑えている印象です。
購入時手数料は無し(ノーロード)、信託財産留保額も無しです。
肝心の信託報酬は、年率0.160%(税抜)となっています。
なお、信託報酬の合計および配分は、純資産総額に応じて下記の通り変動します。
純資産総額が増えると信託報酬が下がる、eMAXIS Slim シリーズでよくあるパターンと一緒です。
設定日
EDINETで公開されている有価証券届出書によると、2018/7/3に設定される予定です。
eMAXIS Slim シリーズのオリジナルファンド
eMAXIS Slim シリーズといえば、従来からのeMAXIS シリーズの超低コスト版ファンドばかりでした。
例えば、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)は、eMAXIS TOPIXの低コスト版です。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)も、eMAXIS 全世界株式の低コスト版です。
これらのファンドはベンチマークが一緒であり、マザーファンドも全く一緒となっています。
そのため従来からのeMAXISシリーズは、残念ながらFatシリーズと揶揄されることもあります。
また、eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)は、eMAXIS Slim シリーズ独自で設定されたファンドではあります。
ただし、従来のeMAXISシリーズにおける各地域株式クラスと一緒のマザーファンドを通じて投資する仕組みです。
厳密に言えば、eMAXIS Slim シリーズのオリジナルファンドとは言えないかもしれません。
emXIS Slim 米国株式(S&P500)のベンチマークであるS&P500は、従来のeMAXISシリーズでは扱っていなかった指数です。
その意味においては、実質的にeMAXIS Slim シリーズで初めてのオリジナルファンドと言えるかもしれません。
マザーファンドは約5年前に設定済み
eMAXIS Slim シリーズといえば、「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」がコンセプト。
運用会社の三菱UFJ国際投信では、超低コストを実現するために、様々な努力をしているワケです。
販売会社を絞り込み、印刷物を廃止し、マザーファンドを他と共有して規模メリットを享受。
想像の域を超えませんが、数々の努力を積み重ねた結果が、超低コストな信託報酬なのです。
ここで気になるのは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のマザーファンドについて。
従来のeMAXISシリーズでは、S&P500に連動したファンドは存在していません。
つまり、eMAXISシリーズとマザーファンドを共有するという常套手段は使えないハズです。
となると、当然ながらマザーファンド共有による規模のメリットを享受できません。
eMAXIS Slim シリーズの他資産クラスと比較して、相対的にコスト面で不利になる可能性があります。
この点については、このような情報がありました。
STAP細胞は分からないけど、マザーファンドは平成25年11月27日からあります!
下記リンク→「信託約款」の最終頁https://t.co/iFjXedLVrf#emaxis #slim #S&P500 #米国株式— どまん中の人 (@SJm0o5M68OdUX90) 2018年6月15日
EDINETで公開されている信託約款を確認します。
全31ページの資料ですが、前半はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の約款です。
P18まであって、P17に「信託契約締結日 2018年7月3日」と書かれています。
P19以降は、S&P500インデックスマザーファンドの約款です。
P31に「信託契約締結日 平成25年11月27日」と記載されています。
つまり、マザーファンドは約5年前から設定されているファンドのようです。
三菱UFJ国際投信HPで検索しましたが、どの投信のマザーファンドなのかは不明でした。
ただ、以前から設定されているマザーファンドであることは事実のようです。
もしかしたら、規模によるコスト削減メリットを期待できるかもしれません。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のライバルファンドと比較
S&P500をベンチマークとするガチンコのライバルファンドがあります。
それは、大和投資信託のiFree S&P500インデックスです。

2017/8/31に設定されたiFree S&P500インデックスは、設定からもうすぐ1年。
信託報酬は、S&P500では最低水準である年率0.225%(税抜)となっています。
ただ、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の登場により、信託報酬最低水準の座は明け渡すことになります。
2018/6/15時点で純資産総額50億円まで積み上がっていますが、今後は厳しいでしょうね。
もうひとつ、全米株式の資産クラスでは超強力なライバルがいます。
それは、楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)です。

ベンチマークの指数が違いますが、全米株式という意味ではライバルです。
楽天VTIのベンチマークは、CRSP USトータル・マーケット・インデックス。
マザーファンドを通じて、米国ETFのVTIに投資をするという仕組みです。
信託報酬は、年率0.120%(税抜)となっています。
そして、投資先であるVTIの経費率が年率0.04%(税込)程度。
つまり、楽天VTIの実質負担は0.160%(税抜)程度と推測されます。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託報酬は0.160%(税抜)なので、ほぼ同じコスト水準ですね。
ベンチマークが違うとはいえ、楽天VTIにガチンコ勝負を仕掛けたと言えるでしょう。
eMAXIS Slim シリーズの新展開に期待
インデックスファンドのなかでも、絶大な支持を集めているeMAXIS Slim シリーズ。
三菱UFJ国際投信のブロガーミーティングでは「日本のヴァンガード社を目指す!」という発言もありました。
現時点において、インデックスファンド業界を事実上リードする存在となりつつあります。
前述の通り、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)はこれまでのeMAXIS Slim シリーズとは違った展開です。
これまでの流れを変えた今回の新展開が、吉と出るのか、凶と出るのか。
そして今後も新展開が続くとしたら、どんなサプライズがあるのか。
多くのインデックス投資家が期待する、時価総額比率の全世界株式の設定。
そのほか、ベンチマークとなる指数をMSCIからFTSE等へ変更。などなど。
何が起きるかと想像するだけでも、ワクワクしてきますね!
これからも、eMAXIS Slim シリーズの動向から目が離せません。
(2018/7/10追記)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が設定となり、順調な滑り出しとなりました。
証券会社のランキングを参考にしながら、今後の動向について改めて考察しました。

(2018/7/14追記)
emAXIS Slim 米国株式(S&P500)ですが、快進撃が続いています。
わずか9営業日で、eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)の純資産総額を突破です。

■関連記事紹介■
eMAXIS Slim シリーズを展開する三菱UFJ国際投信は、インデックス投信のトップランナー。
今後も業界のトップを独走できるのか、ブロガーミーティングの資料も参照して考えました。

eMAXIS Slim シリーズの圧倒的な超低コストは、なぜ実現できるのか。
ひとつの要因として、販売会社を絞り込む戦略が奏功していると思います。

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