青井ノボルです。
つい先日まで苦しい局面を迎えていた、eMAXIS Slim シリーズ。
信託報酬の対抗引き下げを発表して、息を吹き返した今日この頃。
超低コスト競争を勝ち抜いて、そして発展を続けてきました。
三菱UFJ国際投信の姿勢は評価されて、節目を迎えたのです。
これまでの積み重ねが奏功して、純資産総額を積み上げた結果。
2019/10/29、シリーズ合計純資産総額が2,000億円を突破です。
2,000億円という数字に特別な意味があるわけではありません。
こうした節目は、過去の振り返りと今後の考察をする契機です。
この記事では、eMAXIS Slim シリーズの2,000億円突破までの軌跡と今後について考察します。
信託報酬対抗引き下げの苦しみを乗り越えて
eMAXIS Slim シリーズが産声を上げたときから、掲げているコンセプト。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」は有名です。
ライバルファンドが信託報酬を引き下げれば、すぐに対抗引き下げをする。
超低コストを目指し続けるという約束の下、愚直に実行し続けてきました。
連動する指数が同一のファンドに限らず、同じ資産クラスであれば即対抗。
対象範囲は、公募投資信託(ETFおよび企業型DC専用のファンドを除く)。
超低コストというコンセプトを実行力を伴って貫いてきた姿勢が評価され。
投信ブロガーが選ぶFOY2018では、11本中7本が受賞するという快挙達成。
純資産総額の伸びと同様に、順調に歩みを進めてきたSlimシリーズでした。
ところが先日、米国株式クラスで対抗引き下げ発表に2ヵ月弱を要しました。
税込みで年0.1%を割り込む信託報酬であり、決定までに時間がかかりました。
ブロガーミーティングでは、コスト構造の見直しをしていたとの説明でした。
途中償還を避けるためにも、運用が継続できるコスト水準なのかを再確認して。
S&Pダウジョーンズ社には、指数使用料の引き下げを依頼して飲んでもらった。
様々な苦労があったなか、何とかして対抗引き下げに漕ぎ着けたということ。
シリーズ全体にも関わってくる話であり、その頑張りが実って何よりですね。
シリーズ合計の純資産総額が2,000億円を突破
eMAXIS Slim シリーズは、コンセプトを堅持することで支持が広がって。
FOY2018では、eMAXIS Slim 先進国株式が第1位に輝くなど人気化して。
2018年につみたてNISAがスタートしてから、爆発的に資金流入が増え。
2019年に入ってからも、資金流入のペースは順調に推移していました。
偶然にしては出来すぎですが、1,000億円突破はNISAの日(2019/2/13)。
約8ヵ月半の月日が流れ、2019/10/29時点の純資産総額は2,009.90億円。
2019/10/29時点で、全11ファンドの純資産は下記の通りです。
ファンド名称 | 純資産(億円) |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 116.58 |
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 24.44 |
eMAXIS Slim 国内債券インデックス | 69.78 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 632.93 |
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | 61.57 |
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 213.21 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 335.04 |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 95.62 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 82.89 |
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) | 13.05 |
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 364.79 |
シリーズ合計 | 2,009.90 |
300億円超えのファンドが3本あり、合計で1,000億円を超えます。
その他のファンドも徐々に規模が大きくなっていて概ね好調です。
比較的新しいファンドでは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)。
FOY2018では第3位に輝き、純資産総額も順調に増えて100億円が見えています。
全世界株式も最近動きが激しい資産クラスで、信託報酬が一気に下がりました。
米国株式と同様に時間は掛かりましたが、対抗引き下げにより超低コストです。
このほか、2019/10/31には国内リートと先進国リートが追加されます。
これで全13本のファンドとなり、eMAXIS Slim シリーズは一旦完成に。
ベーシックなラインナップを一通り揃えた、という判断のようです。
資産形成のためのツール提供と考えれば、これで十分だと思います。
コモデティや単一国株式指数など、個人投資家の要望は様々あります。
全ての要望を叶えていると、ファンドの本数は無数に増えていきます。
シンプルな品揃え、そして超低コストがeMAXIS Slim シリーズの原点。
資産形成に資する良質でベーシックなファンドを提供し続けてください。
ライバルの背中が見えてきた
主要な資産クラスで、信託報酬率の激しい攻防を繰り広げている好敵手。
ニッセイの<購入・換金手数料なし>シリーズは、強力なライバルです。
eMAXIS Slim シリーズが、純資産総額合計500億円を達成したとき。
<購入・換金手数料なし>シリーズは、1,500億円を超えていました。
2018年8月時点では、シリーズの規模に3倍以上の差があったのです。
あれから1年超となる現時点では、いよいよ背中が見えてきています。
<購入・換金手数料なし>シリーズは2019/7/16に2,000億円を突破。
遅れること約3ヵ月半、eMAXIS Slim シリーズも遂に追い付きました。
もう少しでライバルファンドを逆転できるかどうか、という大事な時期です。
信託報酬引き下げの苦しみを乗り越えたのち、新たなメッセージが発信され。
「最低水準の運用コストと最高水準のパフォーマンスを目指す」と宣言しました。
超低コスト競争が新局面となったいま、このメッセージをどう受け取るか。
個人投資家がファンド選びで大切にしたい視点とマッチしているのか否か。
投信ブロガーが選ぶ!FOY2019の投票期間が迫るなか、楽しみなところです。
またひとつ大台を突破したeMAXIS Slim シリーズ、今後にも期待しています。
関連記事紹介
eMAXIS Slim シリーズの代表格、先進国株式がNo.1になれた理由。
差別化ポイントは超低コストではなく、ソフト面だったと考えます。

eMAXIS Slim シリーズの実質コストは、総じて低く抑えられている。
トータルコストではないので参考値に過ぎませんが、目安になります。

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