若手サラリーマンは投資よりも年収成長率を高めたほうが効率的

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青井ノボルです。

r>gの不等式が有名な、ピケティの「21世紀の資本」。
資本収益率rはGDP(所得)成長率gに勝るという話です。

これは長い歴史の中で存在し続けてる法則とのこと。
資本家に富が集中する要因の一つと言われています。

ところで、r>gというのは常に当てはまるのでしょうか。
ピケティが、膨大な統計データに基づいて導いた法則です。

マクロではこの法則が成り立つとして、ミクロではどうか。
若手サラリーマンの視点でも、果たしてr>gとなるのか。

ワタシの年収成長率と投資の期待リターンから、昨年に引き続き考察してみます。

この記事では、若手サラリーマンは投資よりも年収成長率を高めたほうが効率的だと思うことについて書いていきます。

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r>gという不等式の歴史的事実

ピケティの「21世紀の資本」、当時大ヒットした書籍です。
本書において、一番有名な概念がr>gではないでしょうか。

歴史的事実であるr>gを端的に示したグラフが下図になります。

20180514_2
(引用元:http://piketty.pse.ens.fr/files/capital21c/pdf/G10.9.pdf)

一目瞭然ですが、税引前資本収益率rは世界経済成長率gを常に上回っています。
20世紀には差が小さくなっていますが、21世紀に入って再び差が広がっています。

資本とは不動産や株式などの資産で、rは不労所得の利回り。
世界経済成長率gは、労働者の給与所得・事業所得の成長率。

「資本を持つ人にお金が集まり、普通のサラリーマンにはお金が集まらない」
膨大な統計データからピケティが導き出した法則は、なかなか残酷な格差です。

資本を持たないサラリーマンがr>gの格差を嘆いても意味は無くて。
r>gが事実なら、資本収益率rの取り込みに注力するのが賢い選択。

ただ、サラリーマンとして収入を得ているワタシに当てはまるのか。
全世界株式へのインデックス投資と比べて、年収は上がらないのか。

インデックス投資の期待リターンをr、サラリーマン年収の成長率をgとして、検証してみます。

インデックス投資の期待リターンrを推測

まずはじめに、インデックス投資の期待リターンrを考えていきます。

ワタシは時価総額比率の全世界株式に投資をしたいと考えています。
リスク資産と無リスク資産の比率は、7:3を原則としています。

ワタシの場合、期待リターンrは年率3.81%ということになります。

年収データから年収成長率gを算出

ワタシのリアルな年収データから、年収成長率gを算出します。
給与明細・源泉徴収票をもとに、年収推移を表にまとめました。

2007年のデータは、新卒入社時なので9ヵ月分しかありません。
参考値として、9ヵ月分を12ヵ月換算した数字を記載しています。

2010年は給与明細データを紛失してしまい、手元にありません。

年収額は丸めた数字ですが、成長率(増加率)は詳細データで計算した値。
表のなかに記載している成長率は、前年年収と比較した単年の成長率です。

さて、ワタシの年収成長率gの計算はどのようにすべきでしょうか。
今回、Keisanで公開されている複利計算(利率)を利用しました。

2007年は年換算した参考値なので、設定期間の始点は2008年とします。
設定期間の終点は2018年、つまり10年間の年収成長率gを計算します。

ちなみに、ここでいう年収成長率は年平均成長率(複利成長率)です。

(参考:計算式)
2008年の年収をx、2018年の年収をyとして、
年収成長率g=(y/x)^(1/(2018-2008))-1。
※成長率の計算には年収の実額を使用しています

額面年収で計算した年収の(年平均)成長率gは、5.75%という結果に。
前述の通り、ワタシのインデックス投資期待リターンrは3.81%でした。

つまり計算した年収成長率gと比較すると、r<gという不等式となります。
ピケティが歴史上の事実として明らかにしたr>gとは正反対の結果です。

若手サラリーマンはr<gだと思う

r>gの不等式、ワタシが計算してみるとr<gとなりました。
若手サラリーマンであれば、こうなる可能性は高いと思います。

ピケティが発見したr>gは、膨大な統計データから導いた結論です。
世界全体としての傾向を示すデータに過ぎず、個別には異なります。

一方で、今回はワタシが自分事として投資期待リターンrと年収成長率gを計算。
投資期待リターンrと年収成長率gは千差万別で、結論が違うのは当たり前です。

ワタシは2011年に転職したことで、年収成長率gも大きく変化しました。
仮に同じ職場でも、残業や昇給の度合いに応じて変わってくるでしょう。

サラリーマンであっても、転職などで職場や働き方は選択できます。
年収成長率gは与えられるのではなく自らの意志で取りに行くもの。

サラリーマンに固執する必要もなくて、独立や起業という選択もアリです。
あるいは、サラリーマンを継続しながら副収入を得るのもひとつの選択肢。

投資期待リターンrと年収成長率gは、自分で選択できるものです。
そのため、ピケティのr>gという枠に囚われる必要はありません。

若手サラリーマンであれば、年収成長率gを伸ばす余地は大きいです。
社内で昇給を目指すのもアリですし、市場価値を高めて転職もアリ。

業務でスキルを磨いたり、社外で資格の勉強をしても良いでしょう。
投資期待リターンrを追い求めるよりも、現実的な道だと思います。

若手サラリーマンこそ投資より仕事を

世界的にはr>gですが、日本の若手サラリーマンはr<gだと思います。

昇給や転職のチャンスに恵まれているのは、間違いなく若手サラリーマン。
投資よりも、仕事での年収アップに時間を割いた方が効率的だと考えます。

もちろん人によって、現職場での昇給可能水準は変わってくるところです。
それでも転職という選択肢があり、若手ほどそのハードルは低いでしょう。

転職市場で自分を高く売るため、前述の通り社内外で努力の余地があります。
外部環境を言い訳に動かない人と意識して動く人、その差は一気に開きます。

やるかやらないかは本人次第ですし、努力が必ず実るという確約は無い世界。
それでも可能性を秘めているのは間違いなくて、確率は高い方だと思います。

投資にはリスクが存在し、また元本が増えないとリターンの絶対量は控え目。
もちろん投資の経験も重要ですが、まず注力すべきは仕事なのだと思います。

普通のサラリーマンが、お金を効率的に増やすためには投資も仕事も大事。
両方とも極められればベストですが、若いうちは仕事寄りが良いでしょう。

投資も仕事もどちらも楽しみたい

ワタシは今の働き方や職場が好きで、サラリーマンを続けると思います。

仕事を楽しみながら続けて、可能な限り年収成長率gを高めていきたい。
永遠の課題ですが、生活の基盤となるためしっかりと向き合いたいです。

もちろん、インデックス投資による期待リターンrにも目を向けています。
ワタシにとって足るを知る投資法なので、しっかり継続していきたいです。

投資の期待リターンrは、投資家本人の努力で高められるものでは無くて。
リスク許容度に応じて、おおよそ期待できるであろう不確実性の高いもの。

それでもr>gが示す通り、歴史的には相対的に高いリターンでした。

若手サラリーマンが「投資に精を出す」必要は無いと思います。
ただ、手間の掛からない長期分散積立投資であれば併用も容易。

年収成長率gの最大化を目指しつつ、省エネで投資リターンrも狙う。
仕事を頑張るとともに、投資もするハイブリッド戦略が良さそうです。

投資も仕事も、その目的はしあわせな人生を過ごすこと。
人生を楽しみつつ、投資も仕事も上手くやりたいですね。

この先、お金に振り回されない幸せな人生を過ごすために。
自分自身のrとgについて、考えてみては如何でしょうか。

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