投資信託を購入する際に重視したい点

投資信託・ETF

青井ノボルです。

eMAXIS Slim シリーズの公式HPを見ていて、何となく気になる。
何度も見ているのに、どうしても気になってしまう図表があります。

それは、とあるアンケート結果をまとめたこの図表です。


(引用元:eMAXIS Slim シリーズ公式HPより一部抜粋)

個人投資家がコストを重視していることをデータで示しています。

ワタシもインデックスファンドはコストが超重要だと考えています。

個人投資家にとってインデックスファンドのコストは超重要です
つみたてNISAフェスティバル2018の日経新聞社・田村氏作成資料が、ファンド運用コストの重要性を示唆する内容で興味深いものでした。この記事では、資料を参考にしながら、インデックスファンドにおけるコストの重要性を考えていきます。

この記事では、「投資信託を購入する際に重視したい点」の統計データについて考察します。

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出所である投資信託協会のデータを確認

まず、記載されている図表の出所から確認していきます。
どうやら投資信託協会のアンケート調査結果から引用しているようです。

投資信託に関するアンケート調査報告書-2016年(平成28年)投資信託全般 - 投資信託協会

これは、2016年に実施したインターネット調査。
調査報告書は全67ページあり、引用された図表はその一部です。

読み応えある報告書なので、ご一読をおススメします。

引用された図表を確認

eMAXIS Slim シリーズ公式HPで引用されている図表、詳細を確認します。

調査報告書の前半部分、調査結果要約のP9に掲載されています。


(引用元:投資信託に関するアンケート調査報告書-2016年|投資信託協会)

投資信託を購入する際に重視する点について、2つの観点で調査しています。
これまでどうだったかが青い棒グラフ、今後どうしたいかが赤い棒グラフです。

コストに該当する「手数料は運用管理費の水準」は、今後の方で12.4%
10以上ある選択肢の中で、そこそこ高順位である第4位となっています。

とはいえ、図表を見ているとトップ3が断トツという印象です。

コストが重要と考える人は約1割に留まり、安全性や値上がり期待のほうが多い。
図表の素直な読み方としては、こうした認識のほうが正しいのかもしれません。

コストを重視するのは若者×高年収世帯

さきほどの図表ですが、実はもっと詳細なデータがあります。
詳細な図表は、調査報告書のP30~31に載っています。

「今後、投資信託の購入時に重視したい点」を確認してみます。


(引用元:投資信託に関するアンケート調査報告書-2016年|投資信託協会)

棒グラフが緑の部分が年代別、黄色の部分が世帯年収別となっています。
ここでは「手数料は運用管理費の水準」と回答した人の属性に注目してみます。

年代別にみると、若い年代ほどコスト重視の傾向にあります。
20代と70代で11.8ポイントの大差となっています。

世帯年収別にみると、高年収世帯がコスト重視となる傾向です。
こちらも分かりやすい傾向となっていることが分かります。

年代別にみた場合、若者世代の方がコスト比較に慣れているのかもしれません。

20代であれば、インターネットが当たり前の時代に生まれ育ってきた世代です。
ネットで数字を比較してから購買行動に移すことに慣れていると想定されます。

一方、世帯年収別で高年収世帯のほうがコスト意識が高いのは意外でした。
運用金額が大きくなる傾向にあるせいか、あるいは数字に慣れているということか。

「過去の運用実績」をみても、高年収世帯のほうが重視しているという傾向が読み取れます。
年収の高い世帯の方が数字への意識が強いということかもしれません。

2017年調査の最新データを確認

ところで、eMAXIS Slim シリーズHP掲載の図表は最新データではありません。
投資信託協会による2017年調査の報告書が、すでに公表されています。

折角なので、2017年調査の最新データ(P40)も見てみることにします。
今回も「今後、投資信託の購入時に重視したい点」を確認します。


(引用元:投資信託に関するアンケート調査報告書-2017年|投資信託協会)

前年と同じく、棒グラフが緑の部分が年代別、黄色の部分が世帯年収別です。
ここでも「手数料は運用管理費の水準」と回答した人の属性に注目します。

最初に注目すべきは、最上部に載っている2016年と2017年の比較です。
わずか1.8ポイントですが、構成比が増えていることが分かります。

2017年は「手数料は運用管理費の水準」と回答した人が14.2%です。

eMAXIS Slim シリーズの公式HP、最新データを使った方が良さそうです。

年代別および世帯年収別の傾向は、前年と変わっていません。
若い世代ほど、また高年収世帯ほどコスト重視となっています。

この傾向は一過性のものではないと判断して良さそうです。

調査結果要約の図表が間違っているかも

さきほど示した2017年調査の詳細な図表ですが、調査結果要約として簡易版の図表も載っています。

当記事を書こうと思い、2017年版で調査結果要約の図表を確認していて。
じっくり見ていたら、あることに気づいてしまいました。

調査報告書のP10に載っている、調査結果要約の図表を引用します。


(引用元:投資信託に関するアンケート調査報告書-2017年|投資信託協会)

これまで触れてきた「手数料は運用管理費の水準」に着目します。

2016年調査では12.4%、2017年調査では14.2%という数字でした。
ただ、調査結果要約の図表では違う数字となってしまっています。

他の項目でも、項目名と数字(構成比)がチグハグとなっているようです。

ここまで細かく見ている人間は、恐らく僅かだと思います。
正直なところ、自分でも驚いていますしドン引きです。

とはいえ、投資信託の業界団体が出している調査報告書です。
きちんと整合性が取れるように、修正いただけると幸いです。

投資信託協会には、別途ご連絡をさせていただきます。

(2018/8/6追記)
投資信託協会に問い合わせしたところ、すぐに返答がありました。
指摘した点が誤っていたので、資料を訂正されたとのことです。

調査結果が正しいデータとなり、本当に良かったです。

投資信託に関するアンケート調査報告書-2017年(平成29年)投資信託全般の一部を訂正しました - 投資信託協会

データ分析は面白い

eMAXIS Slim シリーズ公式HP掲載の図表を調べたら、思わぬ方向に話が進んでしまいした。

いやしかし、ひとつの図表データから詳細を調べていくのは面白いですね。

図表データがどういう傾向を示しているか、そして背景にある理由を探る。
投資信託協会にはデータが沢山あるので、どこまでも楽しめますね。

何かに興味を持ち、調べて分析して、自分なりの仮説を立ててみる。
この繰り返しが、知識を自分のモノにするためには必要だと思います。

これからも様々なデータや情報に興味を持ち、学び続けていきたいところ。
そして、金融リテラシーを養いながらインデックス投資を続けていきます。

 

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