インデックスファンドのパフォーマンス要因は複雑です

投資信託・ETF

青井ノボルです。

先日のブロガーミーティングにて、面白い資料がありました。
インデックスファンドのパフォーマンス要因の解説資料です。

運用現場での努力については、前回のブロガーミーティングで解説。
今回はイボットソン作成のデータ資料をもとに、説明がありました。

業界最低水準の運用コストと業界最高水準のパフォーマンスを目指す。
三菱UFJ国際投信では、高いパフォーマンスも視野に入れるとのこと。

コスト以外の部分でも、パフォーマンスへ影響する要素は存在する。
そのことを分かりやすくあらわしたのが、今回の解説資料なのです。

この記事では、イボットソン作成の解説資料を紹介しながらインデックスファンドのパフォーマンス要因について考察します。

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主なパフォーマンス要因は5つ

インデックスファンドは、指数に連動するだけだからどれも一緒。
運用は自動的に行うことができ、手間が掛からないから低コスト。

インデックス投資に出会って間もない頃は、そう考えていました。
でも実際の運用現場は泥臭く、そして様々な工夫がなされている。

ファンドによってパフォーマンスが異なるのは、要因があるから。
その要因を分解して説明するのがブロガーミーティング資料です。



(三菱UFJ国際投信ブロガーミーティング資料)

パフォーマンス要因となる主な要素は、下記の5点といいます。

  1. 対象ベンチマークの違い
  2. ファンドスキーム
  3. (投資先)ファンドの運用規模
  4. ファンドの資金動向
  5. コスト

各要因の詳細については、下記の記事をご参照ください。

これらのパフォーマンス要因、実際のファンドではどうなのか。
資産クラス別に示したのが、イボットソン作成の資料なのです。

資産クラス毎のパフォーマンス

ここからは、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの解説資料。
個別に承諾をいただいて、ブログに掲載をさせてもらっています。

解説資料の内容を紹介しながら、パフォーマンス要因を探ります。

前提条件

これから資産クラス毎に紹介する、各資料の主な前提条件です。

  • つみたてNISA適格のうち指定インデックス投資信託が対象
  • 設定後1年以上経過しているファンドが対象
  • 投資先ETFのファンド規模(残高)は1ドル108円にて計算
  • 各指数のトータルリターン・グロスリターンでパフォーマンス計測
  • 実質信託報酬は消費税抜きで表示
  • データはいずれも2019/9/30時点
  • ファンドの優劣を示すことを意図する資料ではない

あくまで、様々な要因がパフォーマンスに与える影響を示すための資料。
また過去データから算出しており、将来を保証するものではありません。

全世界株式

まずはじめに、全世界株式クラスのパフォーマンス一覧表です。


(※当ブログはイボットソン社より使用許諾を得ています)

左側の図表Aは、年率超過リターンおよびトラッキングエラーです。
右側の図表Bは、実質的な信託報酬やファンド規模を示しています。

年率超過リターンは、対象指数とのファンドの年率リターン差。
ゼロに近ければ近いほど、対象指数とリターンが近くなります。

トラッキングエラーは、月次超過リターンの標準偏差(年率換算)。
月次超過リターンのバラツキが小さければ、値はゼロに近づきます。

トラッキングエラーについては、ちょっと分かりにくいですね。
事務局経由でイボットソン社から補足された内容は下記の通り。

トラッキングエラーの基本的な計算方法は、月次超過リターン(ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの差異)の標準偏差(年率換算)となります。
信託報酬は日々ベースでリターンから一定のコストとして僅かに(イメージ:信託報酬率の1/365)差し引かれているため、超過リターンの水準に対する影響はありますが、月次超過リターンの変動性(トラッキング・エラー)への影響は殆どありません。
極端なケースを想定して、コスト要因のみで下振れしているファンドの場合、毎月のファンドのリターンは常に(ベンチマーク・リターン-月次信託報酬率)となり、毎月のファンドの超過リターンは常に一定で、「▲月次信託報酬(=(ベンチマーク・リターン-月次信託報酬)-ベンチマーク・リターン)」となることから、ファンドの超過リターンにブレはないため、TE(超過リターンの標準偏差)は概ねゼロとなります。
(実際の信託報酬は日割りで計算されるなど様々な影響がありTEはゼロではありません)

さて、コスト(信託報酬)対比の超過リターングラフは下記の通りです。


(※当ブログはイボットソン社より使用許諾を得ています)

青の◆をみると、コストと超過リターンの関係が直線的です。
つまり、コストが大きいと超過リターンがマイナスも大きい。

MSCI ACWI(除く日本)の4ファンドは、低コストほど高パフォーマンス
逆に言えば、ファンドの運用規模や資金動向の影響が低かったということ。

運用規模は、4ファンドとも約2,000億円を超えていて大きめ。
資金動向は1本を除いて、概ね似たような金額となっています。

そのため、信託報酬と超過リターンの相関が強いのだと思われます。

ただ緑の▲、FTSE GACI(1年)のコストとリターンの関係では。
低いコストほど高いパフォーマンス、とはなっていませんでした。

投資先のファンドが複数だからなのか、直近資金動向の差なのか。
詳細は分かりませんが、信託報酬以外も影響するという証左です。

先進国株式

次は、先進国株式クラスのパフォーマンス一覧表です。


(※当ブログはイボットソン社より使用許諾を得ています)

コスト(信託報酬)対比の超過リターングラフは下記の通り。


(※当ブログはイボットソン社より使用許諾を得ています)

全世界株式と同じく、信託報酬と超過リターンの相関が強めです。
ただし、同じ信託報酬でも超過リターンが異なることもあります。

マザーファンドの規模や、直近資金動向の違いが要因でしょうか。
おそらく信託報酬を引き下げたタイミングの影響も大きそうです。

より早く信託報酬を引き下げたほうが、特定期間のパフォーマンスは良くなる。
当然の話ですが、頻繁に引き下げされたほうが高パフォーマンスになりやすい。

また、ファンドの規模に大きな差があるとパフォーマンスにも影響がありそう。
信託報酬0.2%で並んでいる2つのファンドを見比べると、そのように感じます。

もう一つ気になるのは、信託報酬0.1%付近の青い◆赤い■の超過リターン差。
両者の大きな違いは、ETFに投資をするファンドがどうかという点だと考えます。

先進国株式クラスにおいては、超過リターンに大きな差があった模様。
実は全世界株式クラスでも、似たような傾向があったと感じています。

超過リターンだけでなく、トラッキングエラーにも大きな差が出ています。
パフォーマンス一覧を見ると、その差は一目瞭然といったところでしょう。

ETFに投資するというファンドスキーム、ちょっと心に引っ掛かりますね。

米国株式

次は、米国株式クラスのパフォーマンス一覧表です。


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コスト(信託報酬)対比の超過リターングラフは下記の通り。


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米国株式クラスも、青い◆を見るとコストと超過リターンの相関が強そう。
4本のファンドだけですが、概ね直線で結ぶことができると考えられます。

信託報酬0.45%の2本を比べると、マザーファンド規模と資金動向に差が。
パフォーマンスは信託報酬だけでは図ることができない、ということです。

面白いなと思ったのは、実質的な信託報酬0.15%にある赤い■青い◆

CRSP U.S.に連動する赤い■のファンドは、ETFに投資をするスタイル。
年率超過リターンに差が出るかと思いきや、ほぼ誤差の範囲となります。

全世界株式や先進国株式には無かった傾向で、特徴的だと思います。
投資先ファンドの規模が大きく、そして直近資金動向も超順調です。

運用スタイルの不利を乗り越えて、高パフォーマンスなのでしょうか。
とはいえ、トラッキングエラーに着目すると大きな差があるようです。

新興国株式

次は、新興国株式クラスのパフォーマンス一覧表です。


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コスト(信託報酬)対比の超過リターングラフは下記の通り。


(※当ブログはイボットソン社より使用許諾を得ています)

MSCIエマージングに連動する青い◆と◇を見ると、見事にバラバラ。
信託報酬と超過リターンの相関は弱く、他の要因が影響している模様。

新興国株式クラスの特徴は、マザーファンドの規模がかなり違います。
また直近の資金動向を見ても、大きな偏りがあることは一目瞭然です。

新興国株式は投資に制限が多いことも多くて、コストが嵩みがち。
だからこそ、パフォーマンスに影響する要因で大きな差が出ます。

信託報酬以外の要素も含め、新興国株式は慎重な判断が求められます。
感覚的には分かっていたことですが、数字で見るとより強く感じます。

国内株式

最後に、国内株式クラスのパフォーマンス一覧表です。
対象となる指数やファンドが多いですが、下記の通り。



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コスト(信託報酬)対比の超過リターングラフは下記の通り。


(※当ブログはイボットソン社より使用許諾を得ています)

国内株式の場合は、コストと超過リターンの相関が強そうです。
どの指数でみても、相関が強いという傾向には大差が無いです。

JPX日経インデックス400に連動するファンドが、1本だけ突出。
それだけが気になりますが、その他は連動性が高いと言えます。

マザーファンドの規模や直近資金動向には、結構差があります。
それでもパフォーマンスにはさほど影響しないのは不思議です。

自国であるが故に運用がやりやすく、差別化が難しいのか。
詳細は不明ですが、資産クラスにより特性が違うようです。

ファンド選びで大切なこと

インデックスファンドは、信託報酬さえ低ければ良いとは言えない。
様々な要因が影響することで、パフォーマンスが決まるということ。

イボットソン作成の解説資料から、そのようなことが読み取れます。
なんとなく分かってはいましたが、データで見ると腹に落ちますね。

ここからはワタシの私見ですが、ファンド選びで大切なことは何なのか。
特に個人投資家が、資産形成として投資信託を選ぶときにどうすべきか。

パフォーマンス要因のうち、比較が容易な点に着目すべきだと思います。
極力手間をかけずに、高パフォーマンなファンドを選びたいところです。

最初に確認すべきは、コストの代表格である信託報酬だと思います。
まずは信託報酬の低いファンドを選択し、詳細を調べるのが効率的。

その次に、決算後に公表される運用報告書に記載のあるデータです。
マザーファンドの資産残高が書かれているので、確認したいところ。

それ以外には、参考として資金動向や実質コストの確認でしょうか。

資金動向はSBI証券で各ファンドの情報を調べると、確認できます。
実質コストは運用報告書から推定することができるので、参考に。

個人投資家は指数のデータが無く、パフォーマンス測定は難しい。
特に指数が違う場合では、比較することはほぼ不可能といえます。

そのため、精緻な計算をしたつもりでも結論を誤るリスクがある。
個人投資家にできないことを、無理にやる必要はないと思います。

資料を参照すれば数字が拾えて、簡単に比較できるデータを使う。
データから総合的に判断して、ファンドを選ぶのが良さそうです。

ワタシのようなブロガーは、趣味でファンド分析をしたりします。
ただし所詮素人の分析であり、想像の域を超えないのも事実です。

ウェブ上に溢れているオススメファンドは当てにしないことです。
他人発信の情報に踊らされず、一次情報を集めて判断しましょう。

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