青井ノボルです。
またまた、ネットで面白い記事を発見しました。
つみたてNISAは今始めるべきではないという記事です。

上げ相場のいま、つみたてNISAを始める時期ではないという主張です。
投資素人には「下がった時に買って上がった時に売る」が難しい。
タイミング投資は諦めて、積立投資を続けるのがセオリーのハズ。
この記事では、「つみたてNISAをいま始めるべきではない」という思考に陥るポイントについて考察します。
ドルコスト平均法は万能薬ではない
まず、お金のプロであるFPの方が書いた記事の主張を整理します。
つみたてNISA制度を説明したうえで、ドルコスト平均法を解説しています。
ドルコスト平均法は平均購入単価を下げる、というよくある内容です。
たしかに価格変動が上下すれば平均購入単価の引き下げが期待できます。
ただし、平均購入単価が下がるとは言い切れないのが難しいところです。
なお、ワタシの考えは下記の記事でまとめています。

さてFP記事では、ドルコスト平均法の注意点について触れています。
しかし、ドルコスト平均法で注意しなければいけないのは、上げ相場で始める時です。価格がどんどん上がっている時、もしくはずっと高い時にドルコスト平均法で投資を始めてしまうと、平均購入価格が高くなってしまいます。
上げ相場は、購入してすぐに利益が出て売却するならば良いのですが、ドルコスト平均法で一定額を少額で購入していく場合、すぐにまとまった資金にはなりません。始めて数年後にやっとまとまった資金になるので、売却時に下げ相場になった時、損をするリスクがあります。
(引用元:人気の『つみたてNISA』を今、始めるべきではないワケ|ファイナンシャルフィールド)
この指摘は、まさにその通りだと思います。
ドルコスト平均法は、決して万能薬ではないということですね。
上げ相場で始めるべきでは無いという主張
さて、FP記事の続きを確認していきます。
ドルコスト平均法の注意点を踏まえて、こんな主張を展開しています。
日本株式の代表指標である日経平均は、バブル相場の史上最高値3万8957円(1989年12月29日)をそれ以後、更新したことがありません。
また、2018年7月31日、日経平均終値は2万2553.72円と、ITバブル崩壊(2000年)以来の最高値を記録しています。
今、つみたてNISAを始めない方がいいのは、今が上げ相場で高い時期の可能性があるからです。このように株価が高い状況で始めてしまうのは考えものです。
(引用元:人気の『つみたてNISA』を今、始めるべきではないワケ|ファイナンシャルフィールド)
いまは上げ相場の天井が近い可能性が高く、下げ相場で積立を始めるのが良い。
そういう趣旨の内容を、この記事のなかで書かれていると解釈しました。
この考え方については、少し疑問を抱いてしまいます。
なぜ、このような思考に陥ってしまうのでしょうか。
市場平均=日経平均という固定観念
FP記事の前半部分では、つみたてNISAの対象商品にも触れています。
「世界株式に連動する投資信託(世界株式)」という記載も確認できます。
つみたてNISAで積立投資をする場合に、日経平均だけを見て判断するのはナンセンスです。
それでもこの記事では、日経平均の価格変動を持ち出して持論を展開されています。
こうなってしまう理由は、市場平均=日経平均という固定観念が強いのではと想像しています。
(引用元:NYダウ・日経平均長期チャート|日経平均株価AI予想)
日経平均の長期チャートを見ると、未だにバブル期のピークを越えられません。
長期的なトレンドで見ると株価は緩やかに上昇する、とは思えないですよね。
一方でNYダウの長期チャートは、言葉通りの右肩上がりの成長を続けています。
短期間で区切ると上下変動はあるものの、長期では上昇傾向と言えるでしょう。
市場平均=日経平均というジレンマから抜け出せないとすると。
市場平均が長期的には上昇すると期待するのは、きっと難しい。
ただ中期的に見ると、数年単位で好景気と不景気を繰り返しています。
であるならば、下げ相場で積み立てて上げ相場で売るのが良いだろう。
おそらく、このような思考に陥っているのではないでしょうか。
投資素人が相場変動を予測するのは無理
ワタシは残念ながら、相場変動を先読みする特殊能力を備えていません。
そして、投資素人は相場変動を予測できないと考えています。

ワタシは、リスク資産を全売却してしまった黒歴史があります。
この経験からも、投資素人は相場変動を読めないと考えます。
だからこそ、信じることができるリスク資産をバイ&ホールドする。
投資素人の個人投資家には、これが最善策であると考えています。
例の記事を書いたFPの方が、実際にどう考えているかは分かりません。
もし、どの資産クラスも日経平均と同じ過去を辿ると考えたとすると。
つみたてNISAをいま、そして今後も始めるべきではないでしょう。
タイミング云々ではなく、はじめるべきかどうかは自分で考えるしかありません。
数十年という長期で見れば上昇するだろうと信じることができるかどうかです。
はじめたほうが良いと考えるならば、タイミングを気にする必要は皆無です。
相場変動が読めないからこそ、つみたてNISAで積立投資という選択をする。
積立投資の基本中の基本について、改めて考えさせられる良記事でした。
関連記事紹介
相場は読めないと諦めて、あえて思考を停止して市場平均に身を委ねる。
投資素人の個人投資家には、相性の良い考え方なのだと思っています。

つみたてNISAが始まり、インデックス投資の環境が整ってきた2018年。
始めるタイミングとして最適なのかどうか、という視点で考えました。

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コメント
証券外務員ってどんな事してるのか知りませんが、やはり証券会社サイドの人だとこんな記事になるのかなと。ドルコスト平均法が万能ではない事(ベスト)は、初歩の事として理解されていると思います。では他に代替案があるのかと言えば思いつかないのが現実です。
アナリストや経済評論家が今年の株価や経済情勢を年初に語り、当たらないことはよくあることです。経済は生き物なので「明日」どうなるかは神様でもなければ分かりません。当然、相場の高低がどうなるかも分からない訳で、「安い時に買えば」などという〇流証券外務員さんの意見は所詮資格を得るための知識であって本質を見抜けてないかと。
コメントありがとうございます。
記事の執筆者がどんな経歴・スキルの持ち主なのか詳細は分かりませんが、証券会社サイドの方ではないような気がします。金融庁へのリンクも張っていますし、つみたてNISAをおススメしようとしている姿勢は感じました。
ただ、ちょっとピントがずれているなと感じたのが正直なところです。
おっしゃる通りで、将来のことは誰にも分からないと思います。投資に聖杯はないハズですし、あったとしても個人投資家レベルには縁の無い話です。この考え方がベースにあるかないか、記事で感じた違和感は、単純にその違いかなと思います。
資格を得るための知識と実務で必要な知識に乖離がある点も、おっしゃる通りです。一方で、資格に求められる体系的な知識があったほうが、実務面でも有利になる可能性はあります。資格は使い方次第、取得後のほうが大事ですね。
ワタシも資格をいくつか持っているので、しっかり活用していきたいところです!