青井ノボルです。
eMAXIS Slim 新興国株式は、目立ちませんがそれなりに人気です。
積み立て設定している人も多く、純資産総額は堅調に伸びています。
信託報酬は他の資産クラスと比べると割高ですが、十分に低コスト。
業界最低水準の運用コストであり、安心して投資できるファンドです。
もう約3ヵ月前になりますが、第2期の運用報告書が公開されました。
あくまで参考ですが、ここで最新の実質コストが判明しています。
この記事では、eMAXIS Slim 新興国株式における現時点の実質コストを改めて考察します。
eMAXIS Slim 新興国株式の歴史
まずはじめに、eMAXIS Slim 新興国株式の歴史をおさらいです。
2017/07/31 新規設定(信託報酬0.340%)
2017/11/10 信託報酬引き下げ(0.340%→0.339%)
2017/12/13 信託報酬引き下げ(0.339%→0.190%)
2018/04/06 純資産総額50億円突破
2018/07/25 信託報酬引き下げ(0.190%→0.189%)
2018/11/05 純資産総額100億円突破
2019/04/03 純資産総額150億円突破
ターニングポイントは、やはりつみたてNISAがスタートしたとき。
2017年12月に信託報酬の大幅引き下げを実施したことでしょう。
新興国株式が信託報酬を0.2%未満に抑えるのは、凄いことです。
超低コストを武器に、人気を高めてきたのは間違いありません。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」
シリーズ全体としてコンセプトを守ってきたからこそですね。
米国株式や先進国株式、全世界株式ほどの人気はありません。
それでも、FOY2018で第13位にランクインするのは流石です。
第2期運用報告書から実質コストを推計
ファンドの運用に係るコストは、信託報酬だけではありません。
1年間で発生した、すでに純資産総額から差し引かれたコスト。
信託報酬以外のコストも、運用報告書には記載されています。
これは実際に運用してみないと、コスト実額は分かりません。
決算を締めたあとの運用報告書で、確認することができます。
第2期運用報告書を確認
eMAXIS Slim 新興国株式の公式ページで運用報告書を確認します。
現時点の最新版である第2期運用報告書へのリンクが張られています。
運用報告書の8ページに、「1万口当たりの費用明細」の記載があります。
(引用元:eMAXIS Slim 新興国株式 第2期運用報告書P8)
ここに記載のある、売買委託手数料・有価証券取引税・その他費用。
信託報酬以外で、第2期の期間中に発生したコストとなっています。
厳密にいうと、全てのコストが開示されているワケではありません。
信託報酬+運用報告書で判明するコスト、すなわち実質コスト。
真の意味でのコストには、開示されていないものも存在します。
ただ、実質コストはトータルコストに近い存在ではあります。
あくまで参考値に過ぎませんが、コストを計る指標なのです。
実質コストを推計
運用報告書に記載のコストを基に、実質コストを計算していきます。
ワタシは以前から、以下のルールに則って実質コストとしています。
- 信託報酬については、その時点で判明している最新の年率数値を採用。
- 信託報酬以外のコストは、運用報告書に記載の数値を採用。
- 決算期間が1年ではない場合、信託報酬以外のコストは日数で年率に割り戻し。
以上のルールによって推計した実質コストは下記の通りです。
(公開情報より筆者独自作成)
実質コストが年0.381%は高いのか低いのか、判断は難しいです。
先進国・国内株式は年0.2%未満ですから、物足りなさはあります。
ただ新興国株式市場への投資は、相対的に高いコストとなりがち。
特に、カストディフィー(保管費用)が重くなる傾向にあります。
eMAXIS Slim 新興国株式の実質コストは、先進国株式の約2倍。
超低コストとは言えませんが、それなりに低コストだと思います。
信託報酬の引き下げ競争が起きていない
他の資産クラスに比べて、やや割高に見えてしまう実質コスト。
その要因のひとつは、運用コストの基本である信託報酬です。
(引用元:eMAXIS Slim シリーズHP)
eMAXIS Slim シリーズの信託報酬引き下げ実績のイメージ図。
この図表を見ると、新興国株式がシリーズで最も高コストです。
新興国株式への投資にコストが嵩むというのは、前述の通り。
付け加えて、競争が起きていないと言うことができそうです。
新興国株式クラスで、最近引き下げを実行したのはニッセイだけ。
純資産総額が多いファンドを見てみても、旧態依然のコストです。
米国株式や先進国株式、全世界株式と比較すると寂しくなります。
eMAXIS Slim 新興国株式を含め、もう少し盛り上がって欲しい。
そのためには、コツコツと積立投資を続けるしかなさそうです。
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たわらノーロードシリーズ、先進国株式とバランスを引き下げました。
これまで難しいと思われた信託報酬引き下げ、やればできるんですね。

個人投資家にとって、リターンに直結する運用コストは重要です。
コストを抑えるため、超低コストファンドを選びたいとことです。

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