青井ノボルです。
丸井グループがつみたて投資専門の証券会社設立を発表したのが5月のこと。
ついに本日、つみたて投資専門のtsumiki証券を開始すると正式にリリースされました。
tsumiki証券(予定)はじまります~2018年9月口座開設スタート~
リリース資料によると、つみたて投資専門の「tsumiki証券株式会社(予定)」の事業を2018年9月に開始。
クレジット払いで投資信託を購入できる日本初のスキームを導入するとのこと。
この記事では、丸井グループによるtsumiki証券の設立について考えたことをお伝えします。
目玉はクレジット払いによる投信購入
丸井グループが手掛ける今回の証券事業、目玉は何といってもクレジット払いです。
グループ傘下のエポスカードの1回払いで購入でき、エポスポイントが貯まります。
1回払いなので、当然ながら金利手数料は発生しないとのこと。
クレジット払いで投資信託が購入できるのは日本初であり、画期的なスキームです。
月5万円までを上限につみたてを行うことができるとのこと。
年間で60万円に限定されますが、ほどよい枠だと思います。
つみたてNISAの年間40万円と合算して年間100万円ですね。
(2018/7/26 18:45 追記)
丸井グループの広報の方に確認したところ、tsumiki証券でつみたてNISA口座が開設できるそうです。
つみたてNISAは40万円上限なので、2つの上限金額をどう管理するのか気になります。
ネットとマルイ店頭の融合
投資初心者をターゲットとした事業ということで、サポート体制も手厚いようです。
マルイ店頭にて、お金の相談対応や口座開設サポート等を展開するのが最大の特徴。
シンプルで分かりやすいウェブサービスも用意しつつ、マルイ店頭が主戦場になりそうです。
また、ウェブページやプロダクトを通じて、佐藤オオキ氏率いる「nendo」によるデザインを採用。
ざっとHPを拝見しましたが、シンプルでお洒落なデザインを手掛けているようです。
暖かく親しみのもてる世界観を表現するというコトで、期待したいですね。
肝心の商品ラインナップ
5月のリリース時点で、下記の2点が発表されていました。
- つみたてNISA適格ファンドを対象商品とする
- 3~4本のファンドに絞り込む
そのため、個人的にはインデックスファンドが採用されることを期待していました。
丸井グループの証券会社を通じて、インデックス投資を知るキッカケになる。
そして、若者世代にも低コストで全世界株式に投資する文化が広がっていく。
そんな淡い期待を抱いていたのですが、現実はそう甘くありませんでした。
ズコーッ!
まさかのアクティブのみですね…。
まぁそれなりに手数料も欲しいし、投資教育を丸投げできるとなると、妥当なラインなのかもしれないですね。
率直に残念です。— 青井ノボル (@sindanindex) 2018年7月26日
実際に選ばれた商品ラインナップは下記の通りです。
- コモンズ30(コモンズ投信)
- セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信)
- セゾン資産形成の達人ファンド(セゾン投信)
- ひふみプラス(レオス・キャピタルワークス)
いずれも、信託報酬1%程度のアクティブファンドとなっています。
当然ながら、4本ともつみたてNISA適格ファンドです。
インデックスファンドが1本も選ばれなかったこと、率直に申し上げて残念です。
各ファンドの基本情報を確認
今回選ばれた4本のファンドを確認していきます。
コモンズ30
1本目は、コモンズ投信のコモンズ30です。
「30年」「30社」「対話」を特長としています。
信託報酬は、年率1.0584%(税込)です。
純資産総額は、2018/7/26時点で147.57億円。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
2本目は、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド。
株式と債券へ原則半分ずつ、世界分散投資ができるのが特徴です。

信託報酬は、年率約0.71%(税込)です。
純資産総額は、2018/7/26時点で1,651.43億円。
ちなみに、バンガード社のインデックスファンドに投資するFoF。
ただ株式債券比率など、資産分配比率は変動の可能性有りです。
公式HPには、インデックスファンドと誤認させる恐れのある記載が目立ちます。
ただ実際は、資産分配比率を変更する余地のあるアクティブファンドです。
セゾン資産形成の達人ファンド
2本目は、セゾン資産形成の達人ファンド。
世界に広く分散投資しながら、各地域で選別投資を行います。

信託報酬は、年率約1.55%(税込)です。
純資産総額は、2018/7/26時点で658.91億円。
ひふみプラス
4本目は、大人気ファンドであるひふみプラス。
国内中小株を中心に、外国株式にも投資しているアクティブファンドです。

信託報酬は、純資産総額1,000億円超のため年率0.8424%(税込)です。
純資産総額は、2018/7/26時点で6,369.65億円。
商品ラインナップの4本のなかでは、純資産総額が断トツです。
目標は10年後に100万人&残高1兆円
丸井グループは、若者がメインターゲットのビジネスを展開しています。
若者世代へ投資の裾野を広げる取り組みとして、この事業は面白いと思います。
10年後に100万人に当サービスを提供、預かり資産残高1兆円を目指すそうです。
信託報酬をざっくり年率1%として、10年後には年商100億円規模となる見込み。
販売会社であるtsumiki証券の取り分は、そのうち半分の50億円程度でしょうか。
丸井グループ全体でみれば、エポスカードへの取り込みにも繋がります。
ある程度、販促に資金を投入したとしても十分にペイできそうですね。
もしもインデックスファンドを扱ったら
tsumiki証券が、超低コストのインデックスファンドを扱うと仮定します。
ファンドの信託報酬は年率0.2%未満で、tsumiki証券に残るのは年率0.1%未満。
もし預かり資産残高1兆円を達成しても、売上は10億円未満となります。
これでは、マルイ店頭での手厚いサービスは難しいのでしょう。
異業種からの新規参入ですし、目先の利益を求めるのは当然です。
とても残念ではありますが、仕方がないと諦めるしかありません。
民間ビジネスに大きな期待は禁物か
インデックスファンドが採用されなかったのは、本当に残念。
ただ、つみたてNISA対象のアクティブファンドが対象です。
積立投資が若者世代に広まる良いキッカケになる思います。
ゆくゆくは、つみたてNISAの非課税制度も知ってもらって。
つみたてNISAの枠も活用し、徐々に年間投資額を増やしていく。
そういった展開だって、十分にあり得ることだと思います。
(2018/7/26 18:45 追記)
丸井グループの広報の方に確認したところ、tsumiki証券でつみたてNISA口座が開設できるそうです。
異業種の民間企業参入により、業界が活性化されるのは間違いありません。
ただ、超低コストなインデックスファンドの取扱いはハードルが高いです。
そこまで民間企業に期待するのは、ちょっと酷だったのかもしれません。
丸井グループによるtsumiki証券の動向、これからも注目したいと思います。
関連記事紹介
丸井グループが5月にリリースした際に書いた記事です。
異業種の民間企業参入はインパクトが大きいと思います。

つみたてNISAの知名度が想像以上に低かったことが判明。
普及を妨げている要因、普及に向けて必要なことを考えてみました。

●twitterもやってます●
Follow @sindanindex
コメント