青井ノボルです。
人生100年時代と言われるいま、老後生活へ備える必要性が高まっています。
長寿化に伴い、これまでの常識がそのまま通用しなくなる時代となります。
「年金2,000万円問題」が世間を大きく賑わせたのは記憶に新しいところ。
日本人の老後生活を、年金がすべて面倒を見てくれるというのは夢物語。
「年金は破綻するから保険料を払うのは無駄」という極端な思想も危険。
正しい知識を正しく身につけておく、そして自分の意志で選択すること。
個人個人で事情は異なりますし、自分で考えて行動するほかありません。
公的年金制度を正しく理解することは、自立への第一歩となるでしょう。
この記事では、日経新聞の田村さんが書かれた「人生100年時代の年金戦略」を読んだ感想を書いていきます。
年金初心者でも読みやすい
本書は、最初から最後まで公的年金制度について書かれています。
ただ小難しい表現は少なく、平易な言葉で分かりやすい印象です。
公的年金制度は複雑なので、分かりやすくするのは難しいところ。
それでも具体例を示しながら解説するなど、工夫をされています。
マスコミやネットニュースでは、年金不安を煽る傾向にあります。
「年金2,000万円不足問題」も、センセーショナルな報道でした。
ただ、公的年金制度の実態を適切に把握した報道とは限りません。
こうした雑音に囚われることなく、事実を丁寧に説明してくれる。
公的年金制度を正しく理解するため、知識が無くても読みやすい。
年金マニアはもちろん、初心者の方にこそ読んでもらいたいです。
年金受給額は自分の選択が決める
前述の通り、本書は年金制度について丁寧に解説してくれる良書です。
老齢年金だけではなく、遺族年金や障害年金の存在にも触れています。
公的年金は保険である、という基礎知識はまず押さえておきたいです。
そして税金も投入されている制度ですから、正しく理解して活用する。
この姿勢が大切であるということについて、一生懸命に説いてます。
この本の最大のメッセージは、「いくら公的年金をもらえるかは自分の選択で決まる。なるべく多くもらえる仕組みを頭に入れ、実行しよう」ということです。
(引用元:人生100年時代の年金戦略P19)
年金保険料を払っていれば、いずれ貰えるという側面もあります。
ただ、保険料の払い方や年金の受取方法を選択する余地もあって。
いまある年金制度を賢く使う、そのためには知識が必要です。
そして前提となる知識を得たうえで、自分がどう選択するか。
将来の年金受給額は、自分で決めると言っても過言ではないです。
共働き夫婦が気を付けたいこと
ワタシは5人家族のサラリーマンで、妻は現在は専業主婦。
第1子が生まれた後も時短で働いていましたが、退職して。
そろそろ復帰しようということで、働き方を模索中です。
おそらく来年には共働き夫婦となり、いずれはフルタイム。
2人で働くと、収入源が2つとなり家計は安定するでしょう。
ただ、家計を支える働き手に万が一のことがあったときに。
収入減は避けられないので、保険などで備える必要もある。
ここで「生命保険に加入しなきゃ!」と焦る必要は無くて。
公的年金制度の遺族年金を正しく知っておくことが大切に。
以前遺族年金について勉強したことがあり、大枠は知っています。
改めて感じたのは、妻の死亡時の遺族年金は少ないということ。
ともかく会社員の場合、子供の有無にかかわらず、妻の死亡時の遺族年金は薄いといえます。夫婦が同じような年収で家計を支える状況なら、妻が死亡した場合の影響のほうが大きいということです。
(引用元:人生100年時代の年金戦略P169)
共働き夫婦で年収が同程度だったとしたら、妻の死亡時は家計が厳しい。
となると、夫ではなく妻の生命保険を厚くすることも一つの考え方です。
もちろん、生命保険に加入するのであればきちんとシミュレーションを。
無料で使用できるツールもあるので、まずは自分で計算してみましょう。
注目が集まるiDeCo
先日、日本経済新聞に掲載されたiDeCoの記事が話題になりました。
個人型確定拠出年金のiDeCoも、年金制度の一部となっています。
選択肢が増えるのなら良いことですが、実現可能性は不透明です。
本書ではiDeCoについても、後半部分でしっかりと触れています。
拠出や口座維持に手数料が発生してしまうものの、良い制度です。
年単位拠出が解禁されて、いまでは年1回の拠出でもOKとなって。
拠出手数料を削減するために、年単位拠出を選択する人もいます。
本書では、このことについて下記のように書かれています。
ただし、この金額の節約を狙って回数を減らすのはおすすめできません。積立で高値づかみのリスクを減らして投資をするほうが大事だからです。
(引用元:人生100年時代の年金戦略P231)
iDeCo口座で運用する商品が、定期預金などであれば無関係ですが。
株式投資信託などリスク商品の場合、この視点も大切だと思います。
老齢年金やiDeCoの受け取り方
老齢年金の受給開始時期をどうするか、選択肢の幅が広がっています。
ワタシが受給開始する頃には、無数の選択肢があるのかもしれません。
iDeCoについても、受け取り方法として複数の選択肢が考えられます。
受け取り時に使える退職所得控除と公的年金等控除は押さえたいです。
ワタシの場合、恐らく年金受取で公的年金等控除額をフル活用する。
65歳未満は70万円、65歳以上は120万円の控除枠を活用しそうです。
ただ、受け取り時の税制がどうなっているかは予測不能です。
出たとこ勝負ですが、その時に改めて勉強しようと思います。
年金の勉強をはじめるのに最適
公的年金制度を何故フル活用すべきなのかを理解すること。
その意味でも、本書は最初に読むべき本なのだと考えます。
公的年金制度を解説している本は、他にもあります。
例えば権丈先生の書籍は、社会保障全体を学べます。
公的年金制度について知りたい場合は、まずは本書がオススメ。
というのも、具体例も多くて理解しやすい構成となっています。
2冊目に権丈先生の本を読む、というのうが良いと思います。
年金について、少しでも勉強してみようと感じたら。
ぜひ本書を手に取り、読んでみてはいかがでしょう。
関連記事紹介
iDeCoの特徴のひとつは、掛金が所得控除の対象となること。
計算してみたところ、その節税効果は意外と大きかったです。

iDeCoの年単位拠出は本当に有利なのか、ワタシには疑問です。
続編記事も書きましたが、第3弾も近いうちに書きたいところ。

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