投資信託の営業現場で期末の押し売り・乗換取引は減っていない

マネー雑記

青井ノボルです。

金融庁は2017年3月、「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定しました。

あれから2年が経過したいま、顧客本位の業務運営は浸透しているのかどうか。
少なくとも前進はしていると思いますが、まだ道半ばといったところでしょう。

主な販売会社について、顧客本位の業務運営に向けた取組み状況を金融庁が調査。
その結果が公表されたのですが、まだまだ課題が多いというのが率直な感想です。

金融機関の窓口で投資信託を販売する人たち、全員が悪意ある人達とは思いません。
ただ残念ながら、押し売りや乗換取引が横行している可能性はデータに現れている。

この記事では、投資信託の営業現場でいまでも期末の押し売り・乗換取引が減っていないことについて書いていきます。

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金融庁が公表したモニタリング結果

前述の通り、顧客本位の業務運営に向けた取組み状況を金融庁がモニタリング。
主要な販売会社(主要行等10行、地域銀行20行及び証券会社12社)が対象です。

モニタリング結果が公表されたのですが、改革は道半ばのようです。

金融庁の意向に沿った、顧客本位な業務運営を行う好事例が出ているのも事実。
一方で効果の出ていない事例もまだまだ多くて、一筋縄ではいかないようです。

公表されたモニタリング結果で、気になったデータは3つ。
それぞれピックアップして、内容を紹介したいと思います。

平均販売手数料率は依然として高い

2018年度の投資信託の平均販売手数料率は、主要行や地域銀行が2%弱。
大手証券等の平均販売手数料率は、2018年度も高い水準で約2.4%です。


(引用元:投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について|金融庁)


(引用元:投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について|金融庁)

依然として販売手数料率が高い投資信託を販売しているということです。
ワタシの肌感覚に過ぎませんが、販売手数料2%前後は高いと思います。

銀行の手数料水準が減少傾向にあることは救いですが、それでも高い。
個人が投資をする上で最も大切なコストを蔑ろにしていると感じます。

窓口販売をする人がコンサルティング機能を仮に発揮しているとして。
その結果として手数料が割高な投資商品を勧めるのは可笑しな話です。

手間をかけて接客し、顧客本位であればコストの低い商品を勧めるはず。
窓口販売でも例えば、つみたてNISAならいずれも販売手数料ゼロです。

こうした選択肢を勧めていないからこそ、販売手数料が2%前後になる。
顧客本位とは何なのか、販売現場の皆様にはよく考えて貰いたいです。

自社の販売ラインナップだけ、マニュアルだけで顧客本位となるのか。
限られた視野の中だけで考える顧客本位は、押し付けかもしれません。

投資信託保有客はネット証券のみ大幅増加

2016 年度末を基準として、投資信託保有顧客数の推移をみたとき。
主要行等・地域銀行・大手証券等では、いずれも伸び悩んでいます。

一方、ネット系証券は投資初心者を上手く取り込んでいるらしく。
積立投資の受け皿となって、投資信託保有顧客数は大幅増加です。


(引用元:投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について|金融庁)

まさに、ネット系証券の独り勝ち状態と言って良いでしょう。

つみたてNISAなどで、コストの低いネットが主流となりつつある。
ネットは自分で探して選んだ人が大多数でしょうから、更に良し。

自分自身で考えて投資信託を選択をする、とても良い傾向ですね。

なぜか四半期ごとによく売れる

金融機関の現場では、営業の数字を追いかけることが求められて。
四半期ごとにノルマの達成を課され、数字を積み上げるようです。

特に銀行ではその傾向が顕著であると、データが物語っています。


(引用元:投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について|金融庁)

少し長くなりますが、大事なことなので引用します。

主要行等及び地域銀行について、月次のリスク性金融商品(投資信託と一時払い保険)の販売状況を検証したところ、2018 年度においても、引き続き、四半期末ごとに販売額の増加が見られた。なお、大手証券等においては、四半期末ごとに販売額が増加する傾向は、ほぼ見られなくなっている(上記図表)。
こうした中、顧客意識調査において、「自分では当初購入するつもりがなかったリスク性金融商品を、販売担当者にお願いされ実際に購入したことがある」と回答した投資経験者が、2割を占めている。また、「長期投資を目的として購入したリスク性金融商品を、販売担当者から、ある程度の評価損益になった時に、乗換を勧められて売買をしたことがある」と回答した投資経験者も2割を占めており、営業現場では、「お願い営業」や「乗換販売」といったプッシュ型営業が一定程度行われていることが窺われる。
(引用元:投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について|金融庁)

さすがに、営業現場の全てがここまで酷いとは思いたくもありません。
それでもデータを見ると、期末の押し売りや乗換取引は減っていない。

特に銀行は、超低金利時代に生き残りをかけて手数料ビジネスを展開。
手数料を稼ぐために、手数料の高い金融商品を売るのは常套手段です。

販売ノルマを設定して、ノルマ達成を現場に強いることで収益を上げる。
こうした管理が行き過ぎると、現場は手数料ありきの営業をしてしまう。

顧客の資産形成ではなく、手数料が高い商品を優先してノルマを達成。
かんぽ生命の問題も、似たような構図で組織の信用を棄損しています。

少なくともワタシはこのデータを見て、正直このように感じました。
期末に投資信託を押し込む傾向が無くなることを、祈るばかりです。

販売現場にも悩みがある

投資信託の営業現場で押し売りや乗換取引が横行しているのは、残念です。
そして現場によって、しっかりと顧客本位を貫いている人もいるでしょう。

実店舗を構える投資信託の販売現場、現場ならではの悩みもあるようです。

やはり課題だと感じるのは、販売会社が収益を得る投資信託の構造です。
販売手数料や信託報酬で収益を得るという構図が、なのだと感じます。

投資相談やアドバイスを行った対価を、投資信託自体のコストで回収。
この場合、運用コストと相談コストがごちゃ混ぜになってしまいます。

自社の扱う投資信託のうち、高い手数料の投資信託を売りたい環境で。
本当の意味で、顧客本位を貫いた業務運営が行えるのか甚だ疑問です。

投資相談やアドバイスの費用は、相談料として投資信託とは別で支払う。
相談時に報酬を払うのもありですし、投資収益の数%でも良いでしょう。

対面販売に価値があるのなら、堂々と手数料を取れるようにして欲しい。
実店舗ならではの付加価値があるはずで、そこで真っ向勝負して欲しい。

金融庁も含めて、顧客本位を真剣に考えながら改革を進めている過程です。
顧客本位の業務運営が進展することを願って、変化を待ちたいと思います。

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青井ノボル
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