青井ノボルです。
インデックスファンドは、ベンチマークである指数に連動した投資成果を目指すファンドです。
そのため、運用成績は市場平均である指数と同じになることが期待されます。
ところが、インデックスファンドがベンチマークである指数と完璧に連動することはほぼ不可能です。
この記事では、インデックスファンドがベンチマークをほぼ確実に下回る理由、それを踏まえて考えるべきことを書いていきます。
インデックスファンドの宿命
インデックスファンドの運用は、ベンチーマークとの連動性が重要です。
ベンチーマークとの連動を目指す投資商品ですので、その宿命に抗うことはできません。
対象となる指数において、対象銘柄入れ替えや配当金の支払いなど、変動要因をウォッチする。
運用の現場は、ファンドを買うだけの個人投資家のようにほったらかしとはいきません。
インデックス投資の運用も、個人投資家には見えない部分で特有のご苦労があるようです。
結果、多くのファンドでトラッキングエラーが少なく、指数と乖離することなく運用がなされています。
指数連動なので、アクティブファンドのように指数を大幅に上回ることはまずありません。
一方で、指数を大幅に下回ることもなく、市場平均である指数に近い運用成績となります。
インデックスファンドの場合、指数との乖離が少ないほど高品質なファンドだと言うことができます。
必ずコストが発生する
このように、インデックスファンドの中の人は一生懸命運用してくれています。
それに対する対価という意味で、運用中には信託報酬というコストが発生します。
そのほか、売買委託手数料や保管費用など、運用中に発生する実費の負担もあります。
運用報告書の中に記載されている実質コストに含まれているコストです。
(参考過去記事)

インデックスファンドは、購入・換金時の手数料がゼロであることが多いです。
ただ、運用中のコストは受益者負担ということで個人投資家が負担します。
ベンチマークである指数と乖離しないように運用され、運用コストが差し引かれる。
そのため、コスト分だけベンチーマークを下回る運用成績となります。
インデックスファンドはベンチマークの指数と連動する、というのは厳密には誤りです。
連動することを目指しますが、一切の誤差なく完璧に一致させるのは難しいでしょう。
指数=インデックスファンドではない
インデックスファンドの運用はボランティアではなくビジネスです。
金額の大小はともかく、運用に手数料が掛かるのは仕方がありません。
また市場平均である指数は計算上の数値であり、投資商品そのものではありません。
インデックスファンドはインデックスプロバイダーに使用料を支払って、指数を使用しているに過ぎません。
前述の通り、指数に連動した運用成績を目指しても、コスト分だけほぼ確実に指数を下回ります。
よく、アクティブファンドが市場平均を上回る確率に関する議論を目にすることがあります。
アクティブファンドが市場平均である指数に勝ち続ける確率は、かなり低いと言われます。
そのため、指数に連動するインデックスファンドが良いかというと、実際はどうでしょうか。
インデックスファンドは指数を確実に下回るので、市場平均に負け続ける確率はほぼ100%です。
もちろん、平均回帰性を考慮すると、コストが相対的に割高なアクティブファンドのほうが、長期的にはパフォーマンスが低くなる可能性が高いです。
それでもインデックスファンド≠指数という事実は、基礎知識として改めて確認したいところです。
インデックスファンドは低コストであることが大事
インデックスファンドはベンチーマークである指数をほぼ確実に下回ります。
ビジネスの仕組みを通じて運用を他者に任せる以上、仕方のないことです。
だからこそ、リターンを目減りさせる要素であるコストを極小化したい。
インデックスファンドを買う個人投資家なら、そう考えるのが自然です。
コストの重要性については、過去にこんな記事も書いています。

トラッキングエラーが少なく、早期償還リスクが低く、コストが低い、という3点。
個人投資家がインデックスファンドに求める、主たる要素ではないでしょうか。
低コストのインデックスファンドに投資する場合、「ベンチマークを僅かだがほぼ確実に下回る」と言えます。
運用コストでリターンが削られるという構造なので、個人投資家はコストに対して敏感になるべきと考えます。
ベンチマークを大幅に上回ることもある
ところで、インデックスファンドの中にはベンチマークを大幅に上回るケースがあります。
それは、配当抜きの指数をベンチマークとしている場合です。
配当抜きの指数がベンチマークの場合、数%程度の利回りが期待できる配当が除かれます。
無分配を前提とするならば、配当再投資される分だけベンチマークを上回る要素になります。
インデックスファンドのコストは年率2桁bps(0.1%単位)が多く、配当の年率利回りよりも小さい数字。
そのため、配当抜きの指数がベンチマークの場合、運用成績はベンチマークを大幅に上回るワケです。
インデックスファンドのベンチマークは、配当込みと配当抜きのどちらが良いのか。
これについては、過去から幾度となく議論されているテーマでもあるようです。
一例として、2006年9月からブログを書かれているとよぴ~さんの記事を紹介します。

関連記事などもあわせて読むことで、理解が深まると思います。
多くのインデックスファンドは無分配なので、配当込みの指数がベンチマークだと分かりやすいです。
ただ色々な事情があって、配当抜きの指数をベンチマークにしているという例もあると聞いています。
配当抜きの指数をベンチマークとしていても、実際の運用目標は配当込みのケースが大半です。
インデックスファンドは運用コストが重要であり、その分だけリターンが確実に削られる。
ベンチマークの指数がどうでれば、この構図が変わることは無いと考えています。
できるだけ低コストのファンドを選ぶことで、期待リターンを高めていく。
インデックス投資の大原則に従って、ワタシはこれからも投資を続けていきます。
関連記事紹介
インデックス投資の利点として、ほとんど手間が掛からないことが挙げられます。
金銭的なコストは勿論、時間的なコストが極めて低いのは特筆すべき特長です。

インデックスファンドの信託報酬は、競争により低コスト化が進んできました。
個人投資家としては、健全なコスト競争が今後も続くことを祈るばかりです。

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