iDeCoの年単位拠出による運用機会損失を考える

節約・節税

青井ノボルです。

以前に、iDeCoの年単位拠出は毎月拠出よりも有利なのかを考えました。

年単位拠出は拠出回数を減らすことで、手数料を削減できます。
一方で、前納ができず毎月拠出に比べて運用機会損失があります。

手数料の削減効果は、確実に得られるコストの削減効果があります。
一方で、運用機会損失は相場変動などによって不確実性が高いです。

運用機会損失は不確実ですが、相場観と照らし合わせてどう捉えるべきか。
そしてどんな相場変動が起こると、運用機会損失の効果が変化するのか。

この記事では、iDeCoの年単位拠出による運用機会損失を考察していきます。

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年単位拠出は年1回が最適解か

これまで、年末調整をしているサラリーマンの場合。
年単位拠出は年2回が最適解だと言われていました。

年末調整には「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要。
職場での年末調整に間に合わせるため、9月までに1回拠出。

この常識が、2018年10月のルール変更により覆されました。

もし、手数料の削減効果を最大化することを目的とした場合。
12月に一括して納付するという方法が、最適だと思われます。

年1回拠出のコスト削減効果

iDeCoで年1回拠出を選択すると、コスト削減に繋がります。

具体的には、月103円の掛金拠出手数料を11ヵ月分削減です。
103円×11ヵ月=年間1,133円のコスト削減効果があります。

iDeCoでは自由に投資対象が選べ、定期預金の選択肢もあります。
定期預金であれば利率は僅少なので、コスト削減効果は絶大です。

一方で、株式などの投資信託を選択する場合にはどうでしょう。
コスト削減効果は確実にあり、パフォーマンスを引き上げます。

コストは、投資のリターンを確実に低下させる要素だからです。
ただ、機会損失という捉え方も出来るのではないかと考えます。

機会損失を図式化してみる

年1回の年単位拠出が、なぜ機会損失となり得るのか。
それはiDeCoの拠出ルールに依るところが大きいです。

前納は不可能で、毎月拠出よりも後に拠出となります。
毎月拠出であれば運用できていた時間を失うのです。

赤いセルが納付月、青いセルが運用している月です。
青いセルを数えると、全部で66セルとなっています。

12月に年1回拠出をする場合は、初年度は納付するだけ。
毎月拠出と比較して、まるまる運用に割ける月はゼロ

1ヵ月分の拠出金を延べ66ヵ月間、運用機会を失った。
ざっくりと、そのように捉えることができるでしょう。

徐々に上がって急に下がる傾向

運用する時間を失ったとしても、相場が右肩上がりとは限りません。
下落相場であれば、運用していることでマイナスとなる可能性も。

相場変動は読めないので、運用機会損失=収益機会損失とは言い切れない。
とはいえ、長い時間軸でプラスリターンを期待するから投資をするわけで。

下落相場がずっと続くだろう、と考える投資家は極めて稀だと思います。

一方で、相場は上下変動を繰り返しながら推移する性質もあります。
過去の歴史を紐解いても、右肩上がりで上昇することはありません。


(引用元:Google Finance)

上記は、米国株式市場の代表的な指数S&P500の長期チャートです。
下落と上昇を繰り返しながら、長期では騰がっているという構図に。

更に言えば、上昇は徐々に緩やかに、下落は短期間で一気に。
概ねこうした傾向があるように、読み取れるかと思います。

「上げ100日、下げ3日」という有名な投資格言も存在します。
相場変動の特性は、昔から指摘されていることのようです。

下落相場の場合、信用取引で強制ロスカットを食らうケースも。
「売りが売りを呼ぶ」という状況が起きやすいかもしれません。

なお、1930年前後の世界大恐慌では20年以上の相場低迷でした。
相場の下落や低迷が続くことも、絶対に無いとは言い切れません。

相場変動がギザギザの場合で考える

時価総額比率の全世界株式で、期待リターンは年率5%強くらい。
参考としたのは、ファンドの海で公開されているツールです。

年率5%のリターンとなるように、月毎のリターンが上下に変動する。
1ヵ月で8.2%下落、1ヵ月で5%上昇×2ヵ月を繰り返すと仮定します。

最初の資産価値を100として、横軸の単位をヵ月とします。
上下変動を繰り返し、1年後の資産価値は約105となります。

この相場変動を想定して、iDeCoの機会損失を図ってみます。
以降のシミュレーションの前提条件は、下記の通りです。

  • 毎月拠出で月限度額を100とする
  • 毎月月末に納付するものとする(納付月は相場変動の影響無し)
  • 年単位拠出は12月末に全額納付とする
  • 相場変動(資産価値の変動)は前述の通り

毎月拠出とした場合の値動きの一例は、下記の通りです。

■プラス→プラス→マイナスを繰り返した場合

上記のパターンでは、12月に下落相場が当たるようになっています。
12月末時点の資産合計が、1,200を下回っていることが分かります。

年1回の年単位拠出では、相場変動に依らず12月末の資産合計は1,200。
(正確には手数料を差し引いた数字となりますが、ここでは割愛します)

1,200を下回るということは、運用により元本割れしたことを示します。

これだけでは不公平なので、月率リターンの残り2パターンも試します。

■マイナス→プラス→プラスを繰り返した場合

■プラス→マイナス→プラスを繰り返した場合

3パターンの12月末時点資産合計を平均すると、約1,229です。

本シミュレーションの結果、毎月拠出における期待値は1,229。

例えば、公務員・一部会社員で月掛金上限が12,000円とします。
毎月の納付額は、拠出限度額から手数料を除いた金額とします。

つまり、12,000円(掛金上限)-167円(手数料)=11,833円
シミュレーション結果の期待値と掛け合わせると、145,428円。

毎月拠出の12月末残高期待値は、上記の場合で145,428円です。

同条件で12月納付の年1回拠出とした場合、どうなるでしょう。

12,000円×12ヵ月-64円×12ヵ月-103円(12月分)=143,129円。
毎月拠出と比較すると、運用の機会損失により若干マイナスです。

当然ながら、前提条件のもとシミュレーションの結果に過ぎません。
それでも、現実的な条件下で優位性が無いという結論となりました。

相場変動の生データでとうなるか

今回のシミュレーションでは、年単位拠出の優位性を感じない結果でした。
ただし、定期預金での運用であれば確実に優位なのは揺るぎない事実です。

もちろん、条件を少し変えたら結果は変わるかもしれません。
ワタシが恣意的に前提条件を弄っている可能性もあります。

とはいえ、声高に年単位拠出が優位と言えないのも事実でしょう。
投資するタイミングを遅らせることが、良いというのも疑問です。

もう少し、掘り下げて検証する必要があると考えます。
次回は、投資信託の基準価額推移の生データを用いて。

リアルな相場変動のもと、検証をしてみたいと思います。
次回も必ず書きますので、お待ちいただければ幸いです。

 

青井ノボル
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コメント

  1. PK2 より:

    最近iDeCoを始めました。
    私はここに書かれているように毎月納付を止め、年2回(私の場合は6月と12月)納付するように変更予定です。
    まだ試してないのですが、納付時に『貯蓄型』の商品を買い付けるようにし、毎月手動で一定額スイッチングを行う事で『毎月積み立て』と同じ事を出来ると思います。この場合、積み立ての機会が遅れるというデメリットはあると思いますが、よく言われている『ドルコスト平均法』に則った買い付けが出来るのではないでしょうか。

  2. 青井ノボル 青井ノボル より:

    コメントありがとうございます。
    本記事では、買付価格の平準化を期待するドルコスト平均法の是非というよりは、想定されるギザギザな値動きによる運用機会損失を測ることを目的としています。
    貯蓄型商品で年単位拠出、その後手動スイッチングもありだとは思います。
    削減手数料に対して手間が大きい印象がありますが、色んなやり方があるのだと思います。
    自分のなかで納得感のある投資方法を選択し、無理なく継続できるのが一番大事ですよね。

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