青井ノボルです。
日本国内において、断トツの知名度を誇る投資信託の「ひふみ」シリーズ。
藤野英人氏が代表を務めるレオス・キャピタルワークスが運用しています。
独立系アクティブファンドの中では、最も有名な存在かもしれません。
ところで、過去に藤野氏から「日本のTOPIXは半分腐った幕の内弁当」という発言がありました。
日本の大企業は革新的な取り組みができず低成長であり、腐った企業が多いという主張です。
高成長が見込める企業を選んで投資するひふみ投信ですが、その銘柄選定は完璧なのでしょうか。
この記事では、ひふみ投信が腐った幕の内弁当となるリスクについて、書いていきます。
腐った幕の内弁当とは
日本の東証平均株価指数であるTOPIXは、浮動株調整時価総額で計算されます。
そのため、時価総額の大きい銘柄の株価変動影響を大きく受ける傾向にあります。
東証1部の全銘柄で構成されるTOPIXには、腐った企業が多く混ざっている。
それ故に、TOPIXは半分腐った幕の内弁当であるという主張をされています。
SBI証券の対談記事にも明記されていますので、少し引用します。
日本の系列系運用会社も、独立系のような動きをすれば、日本の新陳代謝も早まると思います。今はインデックス運用で腐った幕の内を全部買うようなことをやっていますが、腐ったものを除去する機能をもっとつけていかないといけない。
最近では、日本でもフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営に関する原則)がクローズアップされてきていますが、まず機関投資家が、ダメな会社を売ってよい会社を買うという、結果的に「本当にいい運用」という本来の機能を取り戻すことが重要です。
(引用元:独占企画!スペシャル対談|SBI証券)
ダメな企業に投資すべきではない、良い企業を選んで投資するというスタイル。
この投資方針自体は、とても素晴らしいことだと素直に感じます。
TOPIXに勝ち続けてきた実績は素晴らしい
TOPIXに勝つ方法があると豪語し、現実に勝ち続けてきた実績を残しています。
指数を大幅に上回る好成績を10年間続けたのは、流石と言わざるを得ません。
(引用元:ひふみ投信2018年8月月次報告書より一部抜粋)
成長が見込める企業を選び抜いて投資して、市場平均を上回る運用成績を実現する。
市場平均を上回り続けるのは難しいと言われるなか、アクティブファンドの鑑ですね。
凄腕ファンドマネージャーによる銘柄選定で、腐った幕の内弁当のTOPIXを上回るひふみ投信。
ただし、優秀な運用成績を残してきたファンドも腐った企業に投資するリスクがあると思います。
現実として、ひふみ投信でも投資銘柄の選定ミスと思われる事象が起こっています。
親交の深い大塚家具への投資失敗
圧倒的な好成績を残すひふみ投信が、腐った企業に投資してしまった事例。
ひとつ目は、お家騒動から世間的な注目を集めている大塚家具です。
同社の大塚久美子社長とレオスの藤野英人社長は、旧知の仲と言われています。
(引用元:Yahoo!ファイナンス)
2015年のお家騒動後も、ひふみ投信は大塚家具への投資継続しましたが、大塚家具の株価は右肩下がり。
大塚家具の直近業績を見ても、2期連続で売上減少損失拡大となり非常に厳しい経営状態です。
こうしたなか、ひふみ投信は大塚家具の株式保有割合を大きく減らしたようです。

正確な数字は分かりませんが、株価の大幅下落後に売却したのは明らか。
大塚家具への投資は、大失敗だったと言わざるを得ないでしょう。
凄腕ファンドマネージャーでも、腐った企業を取り除くのは難しいという証左です。
TATERUの不正も見抜けなかった
もうひとつ、ひふみ投信の投資先で最近話題になった銘柄があります。
不動産に係る不正融資疑惑が大きなニュースとなった、TATERUです。
不動産業務の根幹となる部分で、不正に手を染めていたことが明らかになったTATERU。
経営者と実際に会うなど、コストを掛けて銘柄選定するレオスでも見抜けなかった不正。
コンプライアンス違反が大問題に発展する時代なので、投資先の不正はリスクのひとつ。
凄腕ファンドマネージャーが確認しても、不正までは見抜けないのが現実なのです。
EDINETの大量保有報告書によると、2018/5/31時点でTATERU株を5,162,000株保有していました。
ところが2018/9/21の変更報告書では、2018/9/14時点でTATERU株は保有ゼロとのこと。
(引用元:Yahoo!ファイナンス)
2018/9/14というと、ストップ安が続いて株価が底打ちしたタイミングです。
どの時点でどれだけ売り抜けたのか、取得時の株価はどうだったのか。
詳細は不明ですが、TATERUでも大失敗したのは間違いなさそうです。
ひふみ投信であっても、不正に手を染める腐った企業に投資してしまうリスクがある。
TOPIXは半分腐った幕の内弁当と言い放った藤野氏が、腐った企業に投資してしまう。
世間的に注目を集める企業への投資でひふみ投信が大失敗とは、皮肉な話です。
ひふみ投信も腐った幕の内弁当になるのか
ひふみ投信は、国内中小株投資をコアにこれまで素晴らしい運用成績を収めています。
2017年にはテレビ東京のカンブリア宮殿で取り上げられて、一気に知名度がアップ。
猛烈な勢いで純資産総額を増やしていき、ここから超有名ファンドとなりました。
ただ資金流入が加速した結果、米国市場で大型株投資をスタート。
急激な規模拡大により投資方針が揺らいでいる印象もあります。
「守りながら増やす」のコンセプトを貫き、成長余力のある株式を選定して投資する。
規模が大きくなったいま、従来方針を継続できるかがひふみ投信の課題なのでしょう。
また腐った企業に投資して失敗する事例など、綻びも表面化しています。
最近では、TOPIXとひふみ投信の連動性が高まっている傾向もあります。
(引用元:ひふみ投信2018年8月月次報告書より一部抜粋)
上記のβは、TOPIXに対してひふみ投信がどれだけ連動するかを示す数値です。
1に近づけば近づくほど、両者の連動性が高いと見ることができます。
これまで0.8前後でしたが、最近は1.0の近辺で推移しています。
半分腐った幕の内弁当であるTOPIXと似たような値動きをするひふみ投信。
残念ですが、ひふみ投信の現状を表したひとつの側面なのは事実でしょう。
ひふみ投信は腐った幕の内弁当になってしまうのか、今後も注目していきたいと思います。
関連記事紹介
レオス・キャピタルワークス代表の藤野氏が書いた書籍で、とても良い本です。
本書でも終盤で、経団連会長を務めた大企業に批判的な見解を示していました。

倒産まで追い込まれることはなくても、株価暴落のリスクは絶対にある。
凄腕ファンドマネージャーでも、リスクを完璧に回避するのは不可能です。

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