青井ノボルです。
つみフェス2018で、投資初心者向けおススメ本ランキングという企画がありました。
堂々の第1位は、水瀬ケンイチさんのお金は寝かせて増やしなさいです。
そのランキングで、第4位に入っていたのが本書。
ひふみ投信でお馴染みの藤野さんが書いた本です。
お金とは、会社とは、経済とは、投資とは何なのか。
日本人にありがちな偏見にも、ズバリと切り込みます。
この記事では、「投資家が「お金」よりも大切にしていること」を読んだ感想を書いていきます。
日本人特有のお金の固定観念
本書は第1章から、日本人とお金の歪んだ関係について指摘します。
「日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目」とのこと。
この文字だけを見ると違和感があるかもしれませんが、読むと納得します。
特に、日本人は自分のお金を守ることに執着するという指摘。
よく考えてみると、確かにその通りだなと感じました。
現預金の保有率が高く、また元本保証が好きですよね。
第2章でも、清貧が良しとされる日本の文化について触れています。
そうやって考えてしまう癖のようなもの、確かにある気がします。
日本で普通に生まれ育つと持ってしまうであろうお金の固定観念。
なぜこうした偏った思考に陥るのか、大枠を掴めた気がします。
社会の幸せは自分の行動から
藤野さんの考え方は、非常にユニークで共感できるなと感じました。
特に、社会と個人の関わりに対する考え方には学びが多いです。
ワタシが印象に残ったのは、このフレーズ。
自分たちの社会を幸せにするかどうかは、大部分は私たちの行動によるのです。
(引用元:投資家が「お金」よりも大切にしていること P106)
「ありがとう」には「ありがとう」が返ってくる。
こちらが怒りの感情で接すれば、怒りが返ってくる。
まずは、一消費者である自分からプラスの感情で対応する。
周囲にプラスを波及させる、合理的な経済行動でもある。
怒りの感情を露わにしても、決して良いことなどありません。
自分からプラスの連鎖を起こす、という心持ちでありたいですね。
真に必要な金融教育
労働の意義や会社の本質について知ること。
金融教育において、これが重要だと指摘しています。
会社はひとつの生き物であり、別の言い方では法人です。
多様な人間の集合体でもあるため、生態系とも捉えられます。
会社というのは、お金をチャリンチャリンと生み出す機械ではありません。
そこでは意志のある人が働き、価値ある労働の先に企業の利益があります。
どんな会社も、何らかの価値があるから存在できています。
そして、必ず血の通った人間が関わっているものなのです。
こうしたことが理解できる金融教育こそ、必要なのでしょう。
投資はお金ではなくエネルギーのやり取り
投資とは何なのか、これは本書における最大のメッセージかもしれません。
投資とは、いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくこと。
(引用元:投資家が「お金」よりも大切にしていること P193)
エネルギーを構成する要素のひとつが、お金だということです。
そして、最大のお返しは「明るい未来」だと言います。
壮大な理想論ではありますが、理想と現実の間を悩みながら進んでいけばいい。
現実には難しさもあるけど、理想があってこそ頑張れるし生きがいを感じる。
投資の第一歩は、人を信じられるかどうか。
他人や社会を信じて、そこにエネルギーを投じて、明るい未来を作る。
こういう考え方は、とても素敵だなと感じました。
投資について考えさせられる良書
本書は、投資手法や理論というよりも投資の心構えを学べる書籍です。
ひとつの考え方として、筋が通っているし読みやすい内容だと思います。
働くとは何か、会社とは何か、投資とは何か。
大切な原点を見つめ直す契機となる、良書だと思います。
長期投資を続けるためにも、本書のメッセージは重要です。
明るい未来を信じて、自分から一歩を踏み出せるかどうか。
胸に手を当てて、改めて考えてみるのも良い気がします。
関連記事紹介
思いがけず素敵な言葉に巡り合うというのは、読書の醍醐味だと思います。
NightWalkerさんの著作も、金言ともいえる優しい言葉が溢れています。

お金は大事ですが、それよりも大事だと感じることも色々あると思います。
ワタシの場合は、正しく振舞える方への尊敬という概念も大切にしたいです。

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コメント
うちは東日本大震災の際に、福島県会津美里町へ避難しました。開設したての避難所では薄い毛布しかなく、町民の方が布団を差し入れてくれましたが、うちの母親が貰ったらどこぞのおっちゃんに上から強奪されました。避難所で魔法瓶欲しいと貰い、翌日にはもう一度貰う。また、来るときは車の中が空でしたが帰るときは車一杯の避難物資・・・などなど。
うちは「お金」よりも「想いやりの心」ですね。自分だけよければとか、相手を押しのけてまではしたくないですね。少なくとも避難所には津波は来ないんですもん。
コメントありがとうございます。
震災で避難されていたんですね。大変だったのだと想像します。そういう状況下だと特に、人間の本性が出るのかもしれません。
人生において大切にすべきこと、色々あると思います。藤野さんの本からは、世の中を良くするための姿勢や行動を実直に貫く姿勢を感じましたし、ファンドマネージャーのイメージが変わりました。
お金よりも大切なものを、ワタシも改めて考えてみたいと思います。