青井ノボルです。
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019。
2020/1/18の表彰式で、順位が発表となりました。
大井町駅からすぐ近く、きゅありん小ホールで開催。
会場には、個人投資家や関係者が大勢集まりました。
FOYは順位発表も大事ですが、ファンドへのコメントがアツい。
そして、上位5ファンドの運用会社からのコメントも見所です。
この記事では、投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019で上位を受賞した運用会社のコメントについて書いていきます。
投信ブロガーが選ぶ!Foun of the Year 2019の順位
まずは、FOY2019の順位をおさらいします。
第20位までを一覧にすると、下記の通りです。
1位 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
2位 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
3位 | eMAXIS Slim 先進国株式 |
4位 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式 |
5位 | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) |
6位 | 楽天VTI |
7位 | セゾン・バンガード・グローバルバランス |
7位 | グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型) |
9位 | VT |
10位 | SBI・バンガード・S&P500 |
11位 | たわらノーロード先進国株式 |
12位 | 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね |
13位 | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) |
14位 | ひふみ投信 |
15位 | 結い2101 |
16位 | 楽天VT |
17位 | 野村つみたて外国株投信 |
18位 | eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) |
19位 | 野村インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型 |
20位 | eMAXIS Slim 新興国株式 |
表彰式の当日に、会場から速報記事をお届けしています。
受賞したファンド概要などは、こちらをご確認ください。
このうち、第5位から第1位までは運用会社の方が登壇して。
受賞について、それぞれ運用会社の方がコメントしました。
それぞれのコメントを、手元メモの範囲内でお伝えします。
第5位:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)(三菱UFJ国際投信)
まずは、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)が今回も第5位。
三菱UFJ国際投信の若手社員が壇上に上がり、コメントしました。
コメント内容をざっとまとめると、下記の通り。
- 昨年も5位だった。継続的に選んでいただいて嬉しい。
- バランスファンドだが、8資産均等型は珍しいスキーム。当社が2011年にeMAXISで設定したのが初めて。
- 設定の背景は、「どの資産に投資したら良いか分からない」「リバランスに手間かけたくない」という声。
- インデックスファンドの黎明期は、単体資産連動が多かった。
- 分散投資をシンプルで分かりやすく提供するファンドであり、8資産均等というスキームが広く受け入れられている。
- 当社は投資家の視点を大切にする組織文化がある。学生時代にeMAXISで継続的に活動している姿勢をみて、ユーザー本位の営業をしていると思って入社した。
- 投資家を代表するブロガーから選ばれたのは、会社としても個人としても嬉しい。
- 引き続き投資家との接点を大切にしていく。これからも投資家の目線に立ってサービスの提供を継続していきたい。
バランス(8資産均等型)は投資初心者から玄人まで多くの人が愛用。
このスキームを最初に始めたのは、三菱UFJ国際投信なのだそうです。
PIZZAのように美しいシンメトリーの資産配分は、やっぱり魅力的。
eMAXIS Slim シリーズでも引継ぎ、そして進化させた成果ですね。
「投資家の視点を大切にする組織文化」というのは、どうでしょう。
少なくとも現時点では頑張っていると思うので、継続性に期待です。
第4位:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式(ニッセイAM)
前回2位だったニッセイ外国株式は、第4位となりました。
ニッセイAMといえば、もちろん上原常務によるコメント。
集まった個人投資家を盛り上げるトークは、流石です。
信託報酬引き下げを壇上で発表するのは想定外でした。
- 徐々に順位が下がっているので、受賞コメントはこれが最後になるかもしれない。
- 言っておきたいことは、運用会社としてニッセイAMがどういう考え方でニッセイ外国株式に魂を入れているのか。
- ニッセイ外国株式はマザーファンドを含めてイチから立ち上げた。1,500億円を超え、大きくさせていただいた。
- 我々は設定したファンド自体の残高が増える度に信託報酬を引き下げて、利益を受益者に還元してきた。
- 誰一人取り残さない、がコンセプト。SDGsに日本も取り組んでいるが、SDGsには誰一人取り残さないという概念がある。我々は最初からその精神でやっている。
- 我々が信託報酬引き下げの原点だという自負がある。能動的に最安を狙う、誰かに追随するというものではない。
- 日本生命所属の桐生選手は100mで9.98秒だが、信託報酬0.0999%にした。
- 既存ファンド5回も引き下げてきた。全ステークホルダーの了承を得るのが大変だった。
- 信託報酬年0.0999%(税抜)を、2月から大幅に下げる。日本新記録だと弱い。2月から0.0930%(税抜)にする。
- そこまで信託報酬を下げるということは、販売会社(証券会社等)にも協力いただいている。その点は本当にご理解いただきたい。
- 更に信託報酬を下げると、どこに利益が出るのか。投資家のほうを向いてやるしかない。
- このままだと来年は5位から転落してしまう、よろしくお願いしたい。
あまり触れていませんが、某M社を強く意識したコメントでした。
ウケを狙ったのだと思いますが、ちょっと行き過ぎた気もします。
それだけニッセイ外国株式への思い入れが強いのだと思います。
また資金流入が鈍化しているため、危機感も強いのでしょうか。
信託報酬の引き下げについては、2020/1/20にリリース済みです。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの信託報酬率引下げ(投資信託約款変更)について
信託報酬が年0.0930%(税抜)となり、業界最安を更新しました。
あのファンドの対抗引き下げがあるのかどうか、また注目ですね。
第3位:eMAXIS Slim 先進国株式(三菱UFJ国際投信)
FOY2018の第1位だったeMAXIS Slim 先進国株式、今回は第3位。
ニッセイ外国株式と同じく、順位を2つ落とすこととなりました。
コメント内容をざっくりまとめると、下記の通り。
- ベンチマーク連動は難しくないと思われがちだが、いろんな工夫をしている。
- 運用コストを考えて運用している。ファンドはベンチマークに負けるが、いかに近づけるかを工夫している。
- 発注する際に証券会社にコンペをかける。売買金額が大きくなると、より安いコストを提示してもらえる。
- マザーファンドは(全指数の合計で?)残高6,000億円を突破し、業界最大クラス。規模のメリットを生かせる。
- 現物発注する際は、約定タイミングをFMが判断している。ベンチマークの評価は終値ベース。流動性の低い銘柄やリバランス日には、タイミングをずらすことも検討する。
- ベンチマーク連動性の向上、コスト削減を引き続き頑張っていく。
運用現場見学付きのブロガーミーティングを思い出すようなコメント。
こういうことは個人投資家にはなかなか分からないので、重要ですね。
ファンドマネージャーにとっても、個人投資家と触れる機会は皆無。
ブロガーミーティングは、エンドユーザーの声を聞くチャンスです。
相互理解が進むことで、投信業界はより良い方向に進むと思います。
第2位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(三菱UFJ国際投信)
第2位に躍進したのは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)です。
米国株式インデックスファンドが、FOY2019のNo.2になりました。
コメント内容をざっくりまとめると、下記の通り。
- eMAXIS Slim 設定から3年経ったが、販売会社の協力あってこそ。販売会社と協力してプロモーションやキャンペーンを行っている。
- 本ファンドは一時期、信託報酬引き下げに時間が掛ったが、販売会社とコミュニケーションを取りながら、また投資家の期待も感じながら、引き下げをやらせてもらった。
- eMAXIS Slim シリーズの13本は販売会社の協力あってこそ。個人投資家の声が運用会社や販売会社にも届いている。
- いただいたコメントは社内でみんなに共有する。2020年も愛のある叱咤激励のコメントをお願いします。
三菱UFJ国際投信は、個人投資家の声を大切に拾い上げている。
それはコメントの言葉だけではなく、実践していると感じます。
信託報酬引き下げに注目が集まりますが、それだけではありません。
ベンチマークを配当込みに変更したり、細かい改善も重ねています。
個人投資家からの愛のある叱咤激励であれば、聞く耳を持ってくれる。
それだけでも嬉しいことですし、コミュニケーションしたくなります。
少なくとも2019年においては、運用会社のそうした姿勢が支持された。
ただし信頼関係が崩れるのは一瞬ですから、今後も注視が必要ですね。
第1位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(三菱UFJ国際投信)
栄光の第1位に輝いたのは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。
2018年に設定された本ファンド、ファンドはもちろん運用会社への支持も厚かった。
三菱UFJ国際投信から、お馴染みの代田常務が壇上でコメントしました。
コメント内容をざっくりまとめると、下記の通り。
- ニッセイの上原さんから熱のこもったコメントを貰った。ライバル社だが、上原さんが壇上に上らないことは無いだろう。
- 競争の中で業界を盛り上げることが、皆さんの資産形成を世の中に広げていくことになる。良い緊張感、競争関係が生まれれば良いと思う。
- 2019年に多くの人が積立を開始して、また2019年は成功体験を感じたのでは。今年も成功体験を数多くの人に広げていくことができればと思う。
- 資産運用なので、良いことばかりではない。続けることが重要との話があったが、末永く商品を使っていただきたい。
- 投資家に持ち続けて貰えるよう、情報発信や寄り添い方をしていきたい。
- 今年やりたいこと、2019年は自然災害が大きな年だった。出身の長野県も台風被害で大変だったが、世界でも山火事が続いていたりする。
- 炭素排出量削減をしなければと、真剣に考えている。できれば皆様にも広めていきたい。
- ESGではパフォーマンスの議論があったが、例えばTOPIXと同じようなパフォーマンスが出る、外国株式の指数と同じようなパフォーマンスが出る、そんなファンドが立てられればと思う。
- (低炭素企業へ)低い手数料で投資できる環境を提供したい。成功体験と同時に、一歩進んで、人類として直面している問題解決にも踏み出していければと思う。
成功体験かどうかは分からないけど、積立投資の裾野を広げる。
投信の特徴でもあるので、業界として取り組むべき課題ですね。
三菱UFJ国際投信では、LINEサービスを展開予定と聞いています。
懇親会で伺った範囲では、今まさに準備をしているところだとか。
相場が不安定なときこそ、運用会社の真価が試されると思います。
個人投資家にどれだけ安心感を与えられるか、今後に期待します。
また低炭素社会に向けた取り組みは、否定できるものではないです。
ただファンドとしてどこまで徹底できるのかは不透明さもあります。
一方で、ESGでは審査の眼が機能している部分もあるといいます。
社会が本気で低炭素を目指すのであれば、株式指数も自ずと偏るはず。
どんなファンドになるかは分かりませんが、動向を見守っていきます。
関連記事紹介
FOY2019の第1位に輝いたオール・カントリーがiDeCoでも取り扱いを開始。
細やかな改善を重ねることが、選ばれるファンドの条件なのだと感じます。

三菱UFJ国際投信のブロガーミーティング、現場見学は最高でした。
ここまで徹底的に開示してくれる姿勢こそが、支持を集めたのです。

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