青井ノボルです。
このブログを書き始めてから、様々な投資関連書籍を読んできました。
長期投資仲間の皆さんに教えて貰い、興味を持ったものが大半です。
先日、Twitterで勝手にフォローしているhiroさんが紹介していた書籍。
もともと現代ポートフォリオ理論に興味があったので、気になりました。
ファイナンス理論全史、アカデミズムの実務家の対立の歴史を中立的な視点から記述していてとても良かった。ファイナンス理論は現実を過度に単純化した面は否めないが実際に役立つという意見にも同意。ファイナンス理論の全体図を掴んでおきたい人にとってはいい本だと思う。https://t.co/BHMrb0TrZD
— hiro@つけ麺食べたい (@hiroakit_roko) 2018年7月10日
常に批判が付きまとうという、現代ファイナンス理論。
理論の本質を知るには、うってつけの本だと思います。
個人投資家として、このレベルの知識は知っておいて損はないでしょう。
長期投資を続けていくには、むしろ知っておきたい知識かもしれません。
この記事では、「ファイナンス理論全史」を読んで感じたことを書いていきます。
投資中級者向けの書籍です
最初に書いておきますが、この本は地元の図書館で借りました。
本を置くスペースが少ないので、できるだけ借りるようにしています。
2週間に1度の図書館day。
子供の絵本を借りるついでに、ファイナンス理論全史を借りました。予約してたの忘れてたけど、何で知ったんだっけなぁ😅
何はともあれ、早く読みたい! pic.twitter.com/XjUw3pkv0Y— 青井ノボル (@sindanindex) 2018年7月22日
全300ページ弱の本書ですが、平易な言葉で書かれているので読みやすかったです。
ただ専門用語が容赦なく出てくるので、投資初心者には少しキツイかもしれません。
それでも、様々な理論を数式無しで分かりやすく解説してくれる良書です。
なんとなく知っていた言葉を、きちんと理解できるように説明してくれます。
理論が生まれた背景、金融の現場でどのように活用されているかなど。
単なる用語解説では無い部分まで、しっかりと触れているのが良いです。
投資用語はある程度分かるけど、各理論について理解が深まっていない。
あるいは、ファイナンス理論の周辺を含めて俯瞰できるようになりたい。
そういった投資中級者向けの書籍だと思います。
正しいかどうかの先にあるもの
現代ファイナンス理論は正しいのか、間違っているのか。
この問いに対する明確な解答は、とても難しいようです。
市場が効率的かそうでないかの論争は、白か黒かの二元論に陥る傾向があるが、現実の市場には、効率化へ向かう力と、完全な効率化を阻む壁がともに内在している。
(引用元:現代ポートフォリオ理論全史 P80)
金融の実務においては、理論の限界を知りつつも上手に活用をしているらしく。
計算上の辻褄が合うよう、ときには鉛筆をなめて答えを出すこともあるとのこと。
金融工学は精緻な計算で成り立っているようで、いい加減な部分もあるんですね。
理論が現実においては厳密に成り立っていなくても、辻褄が合う限りは問題なし。
ただ、リーマン・ショックというのは上手くいかなかった事例の一つのようです。
現代ファイナンス理論をめぐっては、実に滑稽な論争が一部に見られる。理論はあくまで現実を理解するために単純化したものであるはずなのに、その理論が100%正しいのか、それとも完全に間違っているのか、どちらかにきめつけたがっているように見えるのだ。でもそういう意味での論争は不毛だ。
(引用元:現代ポートフォリオ理論全史 P275-276)
効率的市場仮説などの理論が生まれたことで、間違いなくプラス効果もあって。
例えばリスクについて、ざっくり数値化できるようになったのも事実。
理論の限界はどこにあって、理論がカバーできない部分をどう補うか。
理論はあくまでツールであって、その本質を理解してどう活用するか。
そういった視点が大事なのだなと感じました。
リーマン・ショックの解説が分かりやすい
本書の第4章では、リーマン・ショックに至るまでの概略を述べています。
いわゆるサブプライムローン問題に端を発した、2008年の一大事です。
当時、社会人2年目だったワタシは日本経済の冷え込みを肌で感じていました。
日経平均株価は下がり続け、不動産やゼネコン業者の倒産が相次ぐ異常事態。
世界同時不況の火種が金融の分野でどう燻り、そして火を噴いたのか。
とても分かりやすくまとまっていて、素直に勉強になりました。
サブプライムローンの証券化問題って、こういうコトだったのだなと。
バタフライ効果というキーワードも、事例を通じてよく理解できました。
知っておきたい行動ファイナンス
様々な心理バイアスがある、というのは何となく知っていました。
人間心理というのは、どうしても偏りがちになってしまう。
それにより経済的な行動パターンにも歪みが生じていく。
これを分析するのが行動ファイナンスという分野です。
損失回避傾向などによる、プロスぺクト理論。
ブームに乗りたくなる、バンドワゴン効果。
行動ファイナンスを知ると、様々な歪みが起こる理由が分かります。
投資家が常に合理的に判断できないからこそ、理論通りにはいかない。
そう考えるだけでも、相場変動というのは面白いなと感じます。
心理バイアスは、気がついたらすぐに直せるちょっとしたクセというようなものではなく、心理構造の奥深いところに、いうならば本能に根づいているものなのだ。それは無意識のうちに人の判断を導く。しかも、自分がバイアスにとらわれていることに人は気がつかない。だからこそバイアスは消えない。
(引用元:現代ポートフォリオ理論全史 P201)
行動ファイナンスって、本当に面白い分野ですね。
より深く知ってみたいなと思いました。
中立な立場で語られている良書
効率的市場仮説やランダムウォーク理論は、インデックス投資本でもよく出てきます。
理論の概要はだいたい知っていましたが、理論が生まれた背景や歴史は知りませんでした。
また、現代ファイナンス理論が金融の実務でどのように使われてきたのか。
理論への反対意見にはどのようなものがあり、理論の限界はどこにあるのか。
こうした視点で考えたことは無かったので、本書を通じてとても勉強になりました。
ファイナンス理論全史を読んでいる途中なんですが、これは良い本!
各理論の概要、背景や取り巻く環境について、分かりやすく丁寧に解説してくれています。投資素人は、この本に書かれてるレベルまで抑えていれば充分だと思う。
特定の理論に偏ってないのもポイントなのかな🤔https://t.co/gsoFARJHpz— 青井ノボル (@sindanindex) 2018年8月2日
著者は特定の理論に拘っていない印象で、中立な立場で書かれています。
インデックス投資本の多くは、良くも悪くも特定の理論に偏りがち。
本書は、ファイナンス理論を冷静に俯瞰できる点で素晴らしいです。
本書の特徴は、おそらくここに集約されているのではと感じます。
本書には細かい数式などは一切出てきません。
ファイナンス理論を体系的に理解するのに、最適な書籍です。
一般的な投資本には無い学びが、そこにはあると思います。
気になる方はぜひ、手に取って読んでみてください。
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Twitterなどで長期投資仲間の輪が広がったことで、良い書籍に巡り合えています。
知的好奇心も刺激されるので、こうした繋がりは大切にしたいなと改めて感じます。

書籍というのは不思議なパワーがあるもので、ワタシはこの本で人生が変わりました。
インデックス投資ブログを書き続けているワタシにとって、原点とも言える一冊です。

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