青井ノボルです。
日産自動車会長のカルコス・ゴーン容疑者が逮捕。
まさかのニュースだったので、非常に驚きました。
ところで最近では、ESGという言葉が注目されています。
ESGとは、環境・社会・ガバナンスの頭文字をとった言葉。
これらに配慮した企業への投資を、ESG投資といいます。
この記事では、日産自動車のESG格付けが2018年9月時点で最低ランクだったことについて書きます。
日産のゴーン会長がまさかの逮捕
2018/11/19、衝撃のニュースに世間はざわつきました。
日産のV字回復を牽引した、カルロス・ゴーン氏が逮捕。
まさかの出来事であり、Twitterでも話題となりました。
西川社長の記者会見も、夜遅くに多くの報道陣が集結。
もうすぐ1週間が経ちますが、連日報道されています。
コンプライアンス遵守が求められるなかで、アウトな事件。
失われた信用を取り戻すまでには、大変な道のりでしょう。
(引用元:Google Finance)
事件発覚の翌日には、株価も大きく下落しました。
これから株価はどう動くのか、気になるところです。
MSICジャパンESDセレクト・リーダーズ指数
1ヵ月前の2018/10/22、新規設定されたファンドがあります。
eMAXIS ジャパンESDセレクト・リーダーズインデックスです。
ESG投資が話題となるなか、eMAXISシリーズで設定されました。
MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(配当込み)への連動を目指すファンドです。
この指数はMSCIが算出、時価総額上位500銘柄を対象としています。
MSCIが相対的に優れたESG評価の企業を選別して構築される指数です。
面白い指数なのですが、この中に日産は含まれているのかどうか。
個人的に気になったので、MSCIのホームページで調べてみました。

構成銘柄の一覧には、2018年6月時点の構成銘柄を記載。
各企業の組入構成比のほか、ESG格付けも記載されいます。
現時点の公開情報では、日産の名前はありませんでした。
2018年9月時点で最低の格付けに
調べてみると、日産は事件前から最低のESG格付けだったようです。
日経新聞の記事によると、MSCIは9月時点でCCCに引き下げていた。
MSCIによるESG格付け、しっかりとチェックしているようですね。
ゴーン氏の逮捕劇により、ガバナンスの脆弱さが指摘された日産。
専門家の視点で見ていれば、事件前から「お察し」だったのです。
MSCIのESG格付けですが、下記の仕組みで行われているそうです。
(引用元:MSCI ESG リサーチ)
各企業のガバナンススコアは、96項目で評価して決めるようです。
環境面と社会面の評価も加え、重み付けをしてESG格付けを決定。
日産は2016年7月にBB、翌年7月にB、2018年9月にCCC。
MSCIのESG格付けで、下落の一途を辿っていたといいます。
日産のガバナンス問題点
日経新聞の記事によると、日産のガバナンス問題点は2つ。
一部取締役への権限集中と役員報酬の開示姿勢です。
ゴーン会長に権力が集中していたのは、報道でもある通り。
トップとして19年間も君臨していたので、明らかでしょう。
取締役会の進行はゴーン会長で、業務の執行役もゴーン会長。
経営監督を担う取締役と経営実務の執行が分離していません。
こうしたことから、風通しが悪いと評価されていたようです。
また日産は、全役員の役員報酬を開示していなかったようです。
役員報酬決定のプロセスも開示されておらず、マイナス評価に。
これまで、無資格検査や排ガスデータ改ざん等もありました。
コンプライアンス違反である不正が相次いで発覚したのです。
不正の発覚に加え、ガバナンスに改善の見込み無しと判断され。
日産のESG格付けは、2018年9月に最低のCCCとなったのです。
ESG投資という考え方も一理ある
コンプライアンス違反は、企業にとって致命傷となり得える不祥事。
実際に中小企業では、コンプライアンス違反倒産が起こっています。
上場企業であっても、コンプラ違反が明るみになれば大打撃。
株価が急落する事態となっても、何ら不思議ではありません。
コーポレートガバナンスが機能しているかは、重要なこと。
ESG投資という考え方には、一定の合理性があると思います。
少なくとも、日産は事件発覚前からESG格付けが最低ランクだった。
この事実から、少なくともESG投資がリスク回避にはなりそうです。
ESG投資の歴史は浅く、パフォーマンスはまだ不透明。
感覚的には、市場平均と大差は無いような気もします。
今後どうなるかを含めて、注目していきたいと思います。
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関連記事紹介
個別株投資で最も避けたい事態は、投資先の上場企業が倒産してしまうこと。
倒産までいかなくても、急激な業績不振や上場廃止というリスクもあります。

日本人は貯蓄の文化に染まっていて、リスクには慣れていない気がします。
リスクに対して臆病になってしまう前提で、投資リスクとどう向き合うか。
自分自身のリスク許容度は、抑えめに考えるのが良いのかもしれません。

コメント
うちの大学時代の友人が日産の技術部におりまして、事件後連絡取ったら「えらい問題起こしてごめんね」と言ってました。どこの会社も一般社員は何ともしようがありませんね。
やはり19年も会社のトップというのはちょいと長いですね。上場企業となれば尚更です。
オーナー企業で創業まもないのでしたら、権限が集中してドラスティックに物事進められる
でしょうが・・・。
コメントありがとうございます。
現場社員の皆さんには、大変な苦労の時代が来てしまいましたね。
中小企業にありがちな株主=社長ならやりたい放題ですが、それでもステークホルダーへの説明は不可欠。
日産は上場企業ですし、一線を超えてしまった感は否めません。
渋澤栄一が唱えていた道徳経済合一説、昔は機能していたのかどうか。
日産の事件を機に、昔のコンプラはどうなってたのか気になってきました(^_^;