青井ノボルです。
投資信託市場で「主役交代」が鮮明になっているそうです。
ちょっと前の記事ですが、日本経済新聞に載っていました。
運用会社別の資金流入額も、テーマ型が好調だと上位に。
一方で、毎月分配型の比率が高い運用会社は流出の傾向。
パイの大きさを考えると、流行を捉えることも重要です。
一方で、収益の安定性という意味では厳しさがあります。
運用会社にとって、安定的な収益源を確保するために。
積立投資が中心の個人投資家は魅力的なのでしょうか。
この記事では、運用会社が安定収益を確保するためには資産形成層の取り込みが鍵なのかという話を書いていきます。
かつて人気だった毎月分配型
ワタシが新社会人となり、投資をはじめた2007年前後。
毎月分配型の投資信託が人気を博していた時代でした。
分配金が毎月貰えるという、その一点で人気となって。
退職金を毎月分配型に一括投資する人も多かったとか。
ただ、運用の世界で毎月運用益を上げるのは至難の業。
実は投資元本を取り崩しているケースも多いようです。
今でも定期的に分配金が貰えるのは、魅力に映るようで。
人気絶頂期が終わっても、まだ保有している人もいます。
ただ残念なことに、資産形成には向かない商品でしょう。
超人気ファンドだったグロソブはいま
毎月分配型と言えば、グローバル・ソブリン・オープン。
通称・グロソブは、一世を風靡した伝説のファンドです。
ピーク時の純資産総額は、なんと5兆円を超えていました。
投資信託の残高トップ10に17年半も入っていたそうです。
(引用元:グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型))
グロソブは、世界主要先進国の債券に投資をするファンドです。
相対的に安定的な値動きで、毎月分配金が得られる点が人気に。
とはいえ、毎月分配型のファンドは投資元本を取り崩すことも。
更に言えば、購入時手数料や信託報酬の1%超えはコスト高です。
リーマンショック以降、資金流出が一気に進んでいきました。
今でも純資産総額は4,000億円超で、根強い人気はあります。
近年はテーマ型が人気に
さて、冒頭で触れていた日本経済新聞の記事がこちらです。
公募株式投信の資金流入出を運用会社別にランキングしたところ。
ファンドのトレンドが代わり、主役交代が鮮明となったとのこと。
具体的には、毎月分配型からテーマ型に人気が移ったという内容。
テーマ型ファンドがヒットした運用会社は、資金流入が多い。
毎月分配型が大多数の運用会社は、資金流出が目立つ結果に。
運用会社としては、この傾向を手放しには喜べないようです。
運用会社にとって純資産残高は収益力と直結する。投資家の保有期間が比較的長かった毎月分配型から、流出入が激しいテーマ型に柱が移ったことで、安定成長のハードルが上がっている。18年度首位の三井住友トラスト・アセットは17年度の流入額は30億円程度だった。「テーマ型依存」も収益の柱としては脆弱だ。
ある運用会社の幹部は「テーマ型を好む顧客には、ある程度値上がりしたら売却して別の投信を買う傾向も強く、足の早いお金が集まりやすい」と指摘する。
(引用元:運用会社、安定成長遠く 毎月分配・テーマ型依存鮮明に)
トレンド的な要素が強いテーマ型投信は、短期間の売買が主流。
いわゆる回転売買により、手数料収入は稼げるかもしれません。
ただ、運用会社にとっての安定収益となるかと言えば違います。
資金流入が緩やかに続き、残高をキープできた方が安定します。
購入時手数料だけではなく、運用中の信託報酬があるからです。
ファンドの売買に依らず、保有だけで発生する手数料で儲ける。
これができると、運用会社のビジネスとしては旨味があります。
資産形成層の取り込みは有効か
テーマ型に変わる新分野として、資産形成層の取り込みがあります。
少額であっても、積立を継続する顧客が多いと資金流入が続きます。
過去10年の資金流出入を見ると、レオス・キャピタルワークスやセゾン投信、鎌倉投信は一度も流出がない。金額は小さくても、積み立てを中心に資産形成層を掘り起こしてきた。三井住友DSアセットマネジメントや三菱UFJ国際投信がインターネットを通じた「直販」を始めたのはその布石だ。
(引用元:運用会社、安定成長遠く 毎月分配・テーマ型依存鮮明に)
たしかに、運用会社の収益安定化に寄与する面はあるのでしょう。
レオスやセゾン投信、鎌倉投信は資金流入が続いているそうです。
記事で挙がっている運用会社は、いわゆるアクティブファンド。
信託報酬は年率1%前後で、コスト的には割高感が否めません。
超低コストなインデックスファンドだと、年率0.2%を切ります。
個人投資家には嬉しい一方で、運用会社の収益は薄いはずです。
資産形成層にとって、コストは非常に重要な要素のひとつです。
低コストを維持しながら、安定収益とするのは大変そうですね。
とはいえ、世の中にはバンガードのような運用会社も存在して。
超低コストファンドが中心でも利益をしっかり確保しています。
ビジネスを長期的に見るならば、資産形成層の取り込みも有効。
でも運用会社は短期的にも収益を確保する必要があり、難しい。
儲かる投資信託と資産形成に資する投資信託は違うかもしれない。
運用会社のあるべき姿、どこでバランスをとれば良いのでしょう。
試行錯誤を繰り返しながら、日本の運用会社が良い方向へ進みますように。
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