中の人の反応を踏まえてインデックスファンドのコストを再考(その2)

投資信託・ETF

青井ノボルです。

この記事は、中の人の反応を踏まえてインデックスファンドのコストを再考(その1)の続きです。
個人投資家にとってのコストの考え方などを書いているその1と併せて読むことをおススメします。

先日インデックスファンドの隠れコストに関する記事をアップしたところ、運用会社の中の人と思われる方々から、Twitterで数多くの反応をいただきました。

上記ツイートが引用付きリツイートされ、運用会社の中の人と思われる皆さんに拡散されたようです。

日曜日の朝から、運用会社の中の人たちにインデックスファンドのコストについて熱く語っていただきました。
辛辣な意見から運用現場の実態が垣間見える内容など、様々なツイートが飛び交っていて面白かったです。

実際にどんな反応だったのか気になる人は、上記ツイートのRTを辿って確認してください。

前回の記事(その1)に続いて、運用会社の中の人からいただいた反応を踏まえて、インデックスファンドのコストについて改めて考えてみます。

 

インデックス投資にかかる知識不足を痛感

運用会社の中の人と思われる皆様からの反応、その1に続いて紹介しながら考えていきます。
まずはじめに、ワタシの無知に対する有難いご指摘から。

  • 「全てのコストは基準価額に反映されている」で結論は出ているのでは。MUKAM(三菱国際UFJ投信)の人はせっかくそこまで教えてあげるなら、エージェンシーとプリンシパルの違いくらい説明しておきなさい。
  • 隠れコストがあるとかけしからんと言いたくなる気持ちは分からなくもないが、そのコストが何なのかMUKAMは説明するべき。

三菱UFJ国際投信の方は何も悪くなくて、懇親会の場で説明を聞いたワタシの理解度が不足していたため、ブログ記事で上手く伝えることができなかったせいだと思います。
投資素人がインデックスファンドのコストについて語る資格がないと言うことであれば仕方ないですが、純粋に感じたこと発信させてもらっています。

投資素人の個人投資家目線ではこう見えているのかと、ご笑覧いただければ幸いです。

 

インデックスファンドの運用現場は過酷らしい

運用会社の中の人の反応で、一番面白いなと思ったのがインデックスファンド運用の実態です。
ファンドマネージャーと聞くと華やかな世界をイメージしますが、インデックスファンドの運用現場は、世間のイメージとは異なるようです。

  • 完全コピー型のインデックスファンドには、裏でアホみたいな枚数の伝票を書いてる労働力が存在する。得られるフィーに対してオペレーションでの損失リスクが大きすぎる。
  • 日本のファンドオペレーションは一部を除いて、本当に真面目。完全法のインデックスファンドはとても細かい作業をやっている。
  • インデックスファンドには、アクティブとは質的に全く違う負荷やコストがある。何百という指数構成銘柄を全て持ちながら指数に限りなく近づけるには、それなりの人員配置が必要。事務ミスのリスクも高く、システム投資負荷も大きい。
  • インデックス投資は何も考えずにただ指数と同じことをしてればOK、人も少なくコストも安いはず、という思い込みが投資家にはあるのかもしれない。現場は神経をすり減らしてる。人気のない部署の割には負荷ばかりかかっている。

投資素人の勝手なイメージだと、アクティブファンドは銘柄研究でコストが掛かる。
インデックスファンドは指数に連動するだけなので、コストはさきほど掛からない。
このように考えている人は結構多いと思います。

ただ、インデックスファンドにはアクティブとは質の違う、特有のご苦労があるようです。
伝票処理というのがイマイチ想像できませんが、いわゆる単純作業なのでしょうか。

単純で面白みが無くて、神経をすり減らすほどに様々な要素をウォッチしなければいけない。
インデックスファンドの運用は、人の心を虫食むほどに大変な環境なようです。

本当に単純な素人考えで恐縮ですが、こういう分野こそAIが活躍できそうな気がします。
コミュニケーションの中で相手の感情を読んだり、掛け引きする世界ではなさそうですし。

ワタシが考えている以上に、運用現場では神経をすり減らして頑張っている模様。
個人投資家のイメージと、運用現場の実態には大きなギャップがありそうです。

ちなみに、運用現場の職場訪問企画があったら面白そうだなと思いました。
運用会社の中の人の一日に密着!みたいな動画でも良いかもしれません。

運用会社のみなさま、情報公開の一環としてご検討ください。

 

個人投資家は低コストを淡々と選びます

その1の記事で紹介しきれなかった、コスト関連の反応について追加で紹介します。

  • 指数には、リバランスに伴う売買手数料、カストディフィー、信託報酬は一切含まれていない。指数提供会社は、指数名称使用のライセンスフィーを要求する。これらを合わせるとファンドサイズにもよるが2桁bpsは指数を下回る。
  • インデックスファンドのコストに目くじらを立ててもあまり意味がない。エマージング投信はカストディだけで2桁bps負ける。これは避けようがない。価格交渉力もないから、コストを下げるのは無理。
  • 売買コストが嫌なら自分でやればいいと思う。何でもかんでも低コストがいいと言われてもビジネスだから限界がある。 運用コストは、小売業の仕入価格と販売価格の差みたいなもの。

(2018/4/22修正)
ここでいうbpsというのは、ベーシスポイント。
数字にすると0.01%、日本語でいう万分率です。
(修正前は、Book-value Per Shareと書いていましたが誤りでした。失礼しました。)

外国株式・債券のインデックスファンドでは、カストディフィー(外国証券管理費用)が掛かります。
実質コストに含まれているコストのひとつですが、これって価格交渉の余地がある世界なんですかね。
価格交渉力をつける、つまりファンドサイズが大きくなればコスト低減が見込めるのでしょうか。

インデックスファンドにコストが掛かるのは当然ですし、開示されている実質コストの中身は流石に知っています。
運用コスト分だけ指数を下回るので、マイナス要素であるコストは低いほうが好ましいと言えます。
同じ指数に連動するファンドを比較するとき、コストで比較するのは当然のことです。
過去のトラッキングエラーも確認するとは思いますが、乖離が大きいケースは稀ですよね。

あと、資金力に乏しい個人投資家が、自分でインデックス運用をするのは非現実的です。
サラリーマンであれば時間も限られているので、インデックスファンドを選択するワケです。

そして繰り返しになりますが、数あるインデックスファンドの中から何を基準に選ぶのか。
一番比較しやすい、そして確実にパフォーマンスに影響するコストは低いほうが良いです。
残念ながら、個人投資家にとっては低コストこそ正義です。

運用には様々なコストが掛かるのは当然です。そのことは理解しています。
「赤字覚悟でコストを下げるべし!」と声高に主張するつもりは毛頭無いです。

個人投資家は、低コストを提示してくれる運用会社のインデックスファンドを淡々と選ぶだけです。
仮に国内運用会社では低コスト化が難しければ、海外ETFに流れる人も増えていくでしょう。

 

インデックスファンドの最大のリスクは流動性?

最後に、運用会社の中の人がコストよりも大事なことがあると指摘するツイートもありました。

  • インデックスファンドの最大のリスクは信託報酬ではなく流動性。パッシブが大きくなりすぎた副作用が次の金融危機時に露呈するのは間違いない。

流動性リスクというハナシだと思うので、市場がパニック状態に陥った時に流動性が著しく低下、売りたくても売れない状況になってしまうリスクについて言及しているものと思われます。

一般的に、流動性の高くない銘柄が多く組み込まれている場合に、流動性リスクが高くなるのだと考えられます。
個人投資家が投資しているファンドの多くは浮動株調整時価総額の指数に連動したインデックスファンドですが、本当に流動性リスクが高いのでしょうか。

仮にインデックスファンドの流動性リスクが大きいとすると、市場暴落時に売りたくても売れないという事態になることが想定されます。
ただインデックス投資はバイ&ホールドの長期投資が基本なので、暴落時に売る必要がそもそもありません。

ワタシの理解不足なのかもしれませんが、ご指摘の趣旨をキチンと掴むことができませんでした。

 

コストの議論が盛り上がるのは良いこと

今回は、図らずしてインデックスファンドにおけるコスト論争の発端となってしまいました。

運用会社の中の人も人間ですし、そしてサラリーマンです。
結構大変な思いをしながら現場で頑張っていることが伝わってきました。

とはいえ、運用会社と個人投資家は利害関係にあります。

インデックスファンドのコストの在り方について、両者の考えが違うのは仕方ないこと。
コストの在り方が議論されるなかで、相手の立場や考え方について、相互理解が深まると良いですね。

一方的に罵るのではなく、建設的な意見交換がなされることを祈るばかりです。

■関連記事紹介■
今回の発端となった記事です。コストは全て開示されているワケではないようです。
<関連記事:インデックスファンドにおけるコストの実態を考える

中の人の反応を参考に、インデックスファンドのコストを改めて考えた記事、その1です。
<関連記事:中の人の反応を踏まえてインデックスファンドのコストを再考(その1)

●参考記事●
この件については、まめちさんのブログ記事でも詳しくまとめられています。

インデックスファンドの「隠れコスト」論争をめぐるまとめ - まめちの本棚
久しぶりにブログを更新します。 4月14日(日)からその日の終わりごろにかけて、インデックスファンドの「隠れコスト」というテーマで、TLが大いに盛り上がりました。 「パッシブファンドのコスト」という非常にニッチなテーマをめぐり、運用業界の実務担当者(と思われる)方による数々の興味深い投稿がなされ、大変勉強になりました。...

 

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