eMAXIS Slim シリーズ 信託報酬引き下げの秘訣

投資信託・ETF

青井ノボルです。

eMAXIS Slim シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」を掲げる低コストインデックスファンドシリーズのひとつ。
このコンセプトを忠実に守り、他社に対抗した信託報酬の引き下げを数多く実施してきました。

徹底的に信託報酬引き下げを続けていく姿勢が評価され、個人投資家の信頼を獲得しつつあります。

今回は、eMAXIS Slim シリーズの肝ともいえる信託報酬を引き下げることができる秘訣を探っていきます。

信託報酬は販売会社と分け合う構造

信託報酬は、ファンドの純資産残高から管理手数料として差し引かれるコストのこと。
差し引いた分は、委託会社(運用会社)・販売会社・受託会社(信託銀行)で分け合います。

分け合う際の割合に決まりはないですが、低コストファンドの相場はこんな感じです。

委託会社→45%前後
販売会社→45%前後
委託会社→10%前後

委託会社と販売会社は、ほぼ同じ割合となっているケースが多いです。
やや偏っているコトもありますが、あまり差が無い傾向にあります。

委託会社はおおよそ10%前後です。信託報酬への影響度は低いと言えます。

実質的には委託会社(運用会社)と販売会社で信託報酬を分け合っています。

 

信託報酬引き下げのボトルネック

運用会社が信託報酬を引き下げる場合、その影響が大きい販売会社との交渉が欠かせません。
なぜなら、販売会社の立場からすると、短期的に考えて収益が悪化する要因となるからです。

販売会社としては、信託報酬の高い(≒収益率の高い)ファンドのほうが良いに決まっています。
信託報酬を下げると、短期的には間違いなく収益率の悪化に繋がります。儲けが減るということです。

このように考えると、ひとつの仮説が思い浮かびます。
運用会社が信託報酬を引き下げる際、ボトルネックになるのは販売会社の数と種類ではないかと。

 

問題となる販売会社の数と種類

運用会社が信託報酬の引き下げ交渉を行うとき、交渉相手である販売会社の数が多いと、交渉がまとまらないリスクが高まります。

これは当たり前の話で、利害関係者が多ければ多いほど交渉にかかるコストが上がり、難易度も高まります。
信託報酬引き下げに関しては、交渉相手である販売会社が少ないに越したことはないでしょう。

また、交渉相手である販売会社の業態がバラバラだと、交渉は更に困難なものとなります。

販売会社は原則として金融機関ですが、銀行や信用金庫、証券会社などの業態に分類できます。

銀行であれば、全国に支店を構える都市銀行(メガバンク)、都道府県に根差した地方銀行(第一地銀と第二地銀)、ネット専業銀行と、さらに細分化できます。
証券会社で考えても、大手証券会社、中堅証券会社、地方証券会社、ネット専業証券会社、などがあります。

金融機関という意味では全て一緒ですが、置かれている環境や企業体力は業態によって千差万別です。

実店舗を構える金融機関はコスト削減余地に限界がある一方、ネット専業であればコスト削減余地があるかもしれない。
体力的に厳しい金融機関はコスト削減余地に限界がある一方、企業体力に余裕のある金融機関はコスト削減余地があるかもしれない。

交渉相手である販売会社の業態がバラバラで、その種類が多いとしたら、信託報酬引き下げのハードルは上がると考えるのが自然ですよね。

 

主要シリーズの販売会社をチェック

ここで、主要な低コストインデックスファンドシリーズの販売会社をチェックしていきます。

まずは、外国株式ファンドが大人気のニッセイ<購入・換金手数料なし>シリーズです。

20180404_nissei

ネット証券が中心ですが、地方銀行、ネット銀行、信用金庫、中堅証券も含まれています。
販売会社数は18です。販売会社を絞り込んでいるものの、様々な業態が混ざっています。

次に確認するのは、アセットマネジメントONEのたわらノーロードシリーズです。

20180404_tawara

画像が途中で切れていますが、銀行・その他金融機関の数はもっとあります。
販売会社数は60です。証券・銀行ともに業態のバリエーションが豊富です。

続いて、野村アセットマネジメントのFunds-iシリーズです。

 20180404_nomura


販売会社数は65
です。ネット証券、地方銀行、大手証券、何でもあります。
リストの一番最初に野村證券を記載しているのが、若干気になりますね。

続いて、三菱UFJ国際投信による従来からのeMAXISシリーズです。

20180404_emaxis

画像が途中で切れていますが、販売会社数は断トツの88です。
地方銀行が中心ではありますが、様々な業態をカバーしています。

最後に、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim シリーズです。

20180404_slim

ネット証券・銀行のみに特化していて、販売会社数はわずか8です。
販売会社を思い切って絞り込んでいることが、一目見て分かります。

ちなみに画像ナシですが、三井住友トラスト・アセット・マネジメントのi-SMTインデックスシリーズ
販売会社数はまさかの5です。思い切ってネット証券に限定しています。

大和投資信託のiFreeシリーズも画像ナシですが、販売会社数が66となっています。普通です。

こうして見てみると、eMAXIS Slim シリーズi-SMTインデックスシリーズ突出した存在であることが分かります。

なお、ここで記載しているのはシリーズ全体に係る販売会社数であり、ファンド毎の販売会社数とは異なることがあります。

 

信託報酬のコスト競争は続く

eMAXIS Slim シリーズの販売会社数とその種類は、極めて限定的であることが分かりました。
これが、信託報酬を下げ続けることができる一つの要因と捉えて間違いないでしょう。

一方で気になったのは、三井住友TAMによるi-SMTインデックスシリーズの存在です。
まだ4本のファンドしか設定されていませんが、販売会社をネット証券に限定しています。
純資産残高を見ると苦戦していますが、いずれeMAXIS Slim シリーズの対抗馬になるかもしれませんね。

eMAXIS Slim シリーズはこの勢いを保ったまま、インデックスファンドで勝ち残ることができるのか。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」を体現し続けることができるのか。

他社の低コストインデックスファンドシリーズも含めて、今後の動きが楽しみです。

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年内にはネット直販をスタートする予定のようです。
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