eMAXIS Slim シリーズで業界トップを独走できるのか

投資信託・ETF

青井ノボルです。

このところ、インデックス投資界隈で注目を集めているeMAXIS Slim シリーズ。

「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」を合言葉に、他社に徹底対抗して信託報酬を引き下げる戦略が特徴のファンドです。
この戦略は一般投資家にも徐々に浸透していて、ノーロードインデックス型投信業界をリードする存在となりつつあります。

eMAXIS Slim シリーズは、今後もこの勢いを維持できるのか。
そして、運用会社である三菱UFJ国際投信は業界トップを独走できるのか。

ブロガーミーティングの資料も参考にしながら、改めて考えてみました。

eMAXIS Slim シリーズの快進撃が止まらない

2018年に入ってから、eMAXIS Slim シリーズの快進撃が止まりません。

まずつみたてNISAのスタート直前に、先進国株式の信託報酬大幅引き下げを発表。
先進国株式は注目度の高い資産クラスということもあり、年始から大きな話題を呼びました。

2・3月には、バランス(8資産均等型)で信託報酬引き下げを立て続けに発表。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」の本気度を感じさせる対応でした。

3月に入ってからは、全世界株式(除く日本)、全世界株式(3資産均等型)の新規設定を発表。
注目のeMAXIS Slim シリーズが遂に全世界株式に参入するとあって、これも大きな話題になりました。

そして3月には、eMAXIS Slim シリーズのネット直販を開始する予定であることも発表。
一般投資家にとって直販によるメリットは何なのか、非常に気になるところです。

3月下旬には、運用会社である三菱UFJ国際投信がブロガーミーティングを開催。
参加した投資ブロガーに「日本のバンガードを目指す」と高らかに宣言したのは記憶に新しいです。
ワタシも参加しましたが、この発言には痺れましたね。代田取締役、カッコよかったです。

このように振り返ると、eMAXIS Slimシリーズはコンスタントに話題を提供してきたことが分かります。
この積み重ねが、ブランドの認知度とロイヤリティ(顧客愛顧)の向上に寄与しているのは間違いないでしょう。

 

純資産残高の増加ペース上昇

純資産残高の増加ペースを見ても、eMAXIS Slim シリーズは一定の成功を収めていることが分かります。
こちらは、先日のブロガーミーティングで配布された資料です。(ブログ掲載OKという寛大な対応に感謝!)

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黄色の部分がeMAXIS Slim シリーズの純資産残高の推移です。

このグラフをみると、2018年に入ってから増加ペースが上昇していることが分かります。

これは、eMAXIS Slim シリーズのブランド浸透戦略が上手くいっているのは勿論、
2018年1月からスタートしたつみたてNISAの影響も大きいと推察されます。

つみたてNISA適格ファンドという制度対象のファンドのラインナップをみると、インデックスファンドが大多数です。
eMAXIS Slim シリーズは株式クラス7本がつみたてNISA適格ファンド(2018/4/3時点)なので、確実に追い風を受けています。

 

地方銀行の販売力は健在

冒頭にも書いた通り、eMAXIS Slim シリーズはインデックス投資界隈で話題のファンドです。
ブログやSNSなどで、話題に上るのを見かける機会は多いです。注目もされています。

ただ、これはあくまで個人投資家によるインターネット上の限られたコミュニティ内でのハナシ。
個人投資家に広く周知されているかというと、まだまだ伝わっていない気もします。

さきほどのグラフ、全体像を撮ったのがコチラです。(ブログ掲載OKという寛大な対応に再度感謝!)

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青の部分が従来のeMAXISシリーズ、黄色の部分がeMAXIS Slim シリーズの純資産残高です。
ちなみに赤の部分は、主に地銀の窓口販売向けに設計されたつみたてんとうシリーズです。

従来のeMAXISシリーズは、8年半ほどかけて純資産残高を着実に伸ばしてきました。
増加率は鈍化しているようですが、現在でもある程度は伸びているように見えます。
一方で、eMAXIS Slim シリーズは残高を伸ばしているものの、全体に占める割合は僅かです。

さて、eMAXISシリーズの特徴はどこにあるのでしょうか。
それは、ラインナップの豊富さと販売会社の多さにあります。

地方銀行や中堅証券での取り扱いも多く、幅広い販路を確保している点は強みです。

一般人にとって身近な金融機関である地方銀行は、ネットよりもパイの大きい市場です。
この販売チャネルをしっかりと押さえるのは、今後も重要なのではと考えられます。

目論見書や月報を印刷して、冊子をつくり、発送する、となると当然コストは嵩みます。
それでも、身近で安心できる金融機関を窓口として、ノーロードの投資信託を買い付けできる。
ココに価値を感じる人が存在する限り、eMAXISシリーズの需要は底堅いと言えそうです。

 

市場シェアを確認

さて、eMAXISシリーズなどを手掛ける三菱UFJ国際投信ですが、現時点での市場シェアはどの程度なのでしょうか。
ブローガーミーティングで配布された資料のうち、ファンド情報の記事には、このように書かれています。(ブログ掲載OKという寛大な対応に心から感謝!)

ETFを除く公募株式投信の純資産総額が約60兆円規模で横ばいが続く中、「ノーロードのインデックスファンドのマーケットは年間で約20%のペースで伸びている」(三菱UFJ国際投信の代田秀雄取締役)という。足元でノーロードのインデックス投信の純資産総額は8,000億円を超えており、仮に足元の年20%の拡大が5年間続けば2023年に2兆円の市場規模になる計算だ。

三菱UFJ国際投信のノーロードインデックス投信の純資産残高は約2,700億円なので、現時点の獲得シェアは33%ほどと計算されます。
以下、三井住友トラスト26%、ニッセイ16%、野村12%、と続きます(ファンド情報の記事より計算)。

現時点でトップシェアを誇る三菱UFJ国際投信ですが、市場規模が2兆円まで成長した時に、そのシェアを伸ばせるかどうか。
販売チャネル別に異なる戦略を取っていくことが、今後も吉と出るのか凶と出るのか。気になるところです。

 

今後の仕掛けに注目

eMAXIS Slim シリーズと従来型eMAXISシリーズ、そしてつみたてんとうシリーズ。
三菱UFJ国際投信は販売チャネル毎に最適化された戦略で、今後も攻め続けていくことでしょう

eMAXIS Slim シリーズで言えば、現時点でも話題豊富ですが、今後はネット直販という話もあります。
また、各ファンドの更なる信託報酬引き下げを視野に入れて、対応策を検討しているような話もあります。

今後、どの運用会社が勝ち残るのか、そして三菱UFJ国際投信は業界トップを独走できるのか
そして、eMAXIS Slim シリーズでどんな仕掛けをしてくるのか。今後も目が離せませんね。

■関連記事紹介■
つみたてNISA開始後にeMAXIS Slim シリーズへの流入増という別データもあります。
<関連記事:つみたてNISAの売れ筋は日経平均連動型が上位!?

先日参加したブロガーミーティングの様子をまとめています。
<関連記事:オフレコ話満載の三菱UFJ国際投信ブロガーミーティングに参加

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